[春秋要約170504]若葉の季節を迎えても「3.11」からの再起に向けて働く人々の体も朝晩はまだ冷える。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/5/4付

「人体冷えて東北白い花盛り」。金子兜太さんの句は様々なイメージを喚起する白い花はサクラか5月のリンゴか。「人体」という言葉には、生と死を包摂する響きがある半世紀も前の作品なのだが、どこか東日本大震災後の東北の人々の暮らしの風景と重なる
▼連休前半、サクラ散る岩手県沿岸部を駆け足で巡った。津波で壊滅した陸前高田市の中心市街地に大型商業施設が開業し、買い物客でにぎわっていた。釜石市鵜住居町に立ち寄ると全壊した小中学校の跡地がきれいな更地に。2019年のラグビーワールドカップ会場となる「復興スタジアム」の建設が、いよいよ始まる
▼宮古湾へ北上した。いまが旬の地域ブランド「花見かき」の出荷が最盛期を迎えていた。カキは冬の季語だ。が、当地では冬に水揚げしたカキのうち特大サイズを再び海に戻して春まで育てる。栄養をたっぷり蓄えたのだろう。味が濃厚だ。炭火で焼いて食したのだが、身が縮まずにふっくらしてこのうえなく美味だった。
▼早朝、花見かきの生みの親である山根幸伸さん(60)の船に同乗し、水揚げの現場を見せてもらった。若葉の季節を迎えても、宮古湾にはひんやりした風が吹き込む。「3.11」からの再起に向けて海や田畑、工事現場などそれぞれの持ち場で働く人々の体も朝晩はまだ冷えるのだ。兜太さんの句を肌身で感じる旅だった。

要約

[299/300文字]
「人体冷えて東北白い花盛り」。
金子兜太さんの句は、東日本大震災後の東北の人々の暮らしの風景と重なる。

連休前半、岩手県沿岸部を巡った。
大型商業施設が開業し、買い物客でにぎわっていた。
全壊した小中学校の跡地がきれいな更地に。
2019年のラグビーワールドカップ会場となる「復興スタジアム」の建設が、いよいよ始まる。

宮古湾へ北上した。
いまが旬の地域ブランド「花見かき」の出荷が最盛期を迎えていた。

花見かきの生みの親である山根幸伸さんの船で水揚げの現場を見せてもらった。
若葉の季節を迎えても、宮古湾にはひんやりした風が吹き込む。
「3.11」からの再起に向けて海や田畑、工事現場などそれぞれの持ち場で働く人々の体も朝晩はまだ冷えるのだ。
兜太さんの句を肌身で感じる旅だった。

[196/200文字]
「人体冷えて東北白い花盛り」。
金子兜太さんの句は、東日本大震災後の東北の人々の暮らしの風景と重なる。

連休前半、岩手県沿岸部を巡った。
大型商業施設が開業し、全壊した小中学校の跡地が更地に。
「復興スタジアム」の建設も始まる。

宮古湾では「花見かき」の出荷が最盛期を迎えていた。

若葉の季節を迎えてもひんやりした風が吹き込む。
「3.11」からの再起に向けてそれぞれの持ち場で働く人々の体も朝晩はまだ冷えるのだ。
兜太さんの句を肌身で感じる旅だった。