[春秋要約170209]「天下り」をあっせんしていた文部科学省。道徳をないがしろにするのは伝統芸なのか。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/2/9付

少年易老学難成/一寸光陰不可軽。日本で広く知られた漢詩のでだしである。「少年老いやすく学なりがたし/一寸の光陰かろんずべからず」と読み下せば、わかりやすいかもしれない。若いうちは、わずかなときも惜しんで勉強しなさい――。もっともな趣旨である。
▼宋の時代に儒教の中興をなしたとされる朱子の「偶成」という詩である、と習ったおぼえがある。実は違うらしいと知ったのは、少年の日が遠く去ってからだった。専門家による考証がすすんだ結果、室町時代の日本の禅僧がつくった、との見方が強まっているそうである。それがどうして、朱子の作として広まったのか。
▼これまた専門家の研究によれば、明治政府が検定した中学生向けの漢文の教科書がはじまりだった、とのこと。教育にたずさわる立場からは、子どもたちの心に刻みつけたくなる詩だったことは、理解できる気もする。とはいえ、その目的のために朱子の権威を借りようとして誤解を広めたのだとすれば、本末転倒だろう。
▼教科書検定制度の守護神というべき文部科学省が、組織的に「天下り」をあっせんしていたという。なんとも間の悪いことに、小中学校で「道徳」を「教科」に格上げする準備がすすんでいるところである。多感な子どもたちに人の道を説こうと旗をふるかたわらで、初歩の道徳をないがしろにする。伝統芸なのだろうか。

要約

[299/300文字]
少年易老学難成/一寸光陰不可軽は日本で広く知られた漢詩のでだしだが、朱子の詩ではなく室町時代の日本の禅僧がつくった、との見方が強まっているそうである。

専門家の研究によれば、明治政府が検定した漢文の教科書が朱子の作として広まったはじまりとのこと。
子どもたちの心に刻みつけたくなる詩だったことは理解できるが、その目的のために朱子の権威を借りようとして誤解を広めたのだとすれば、本末転倒だろう。

文部科学省が、組織的に「天下り」をあっせんしていたという。
間の悪いことに、小中学校で「道徳」を「教科」に格上げする準備がすすんでいるところである。
多感な子どもたちに人の道を説こうと旗をふるかたわらで、初歩の道徳をないがしろにする。
伝統芸なのだろうか。

[193/200文字]
少年易老学難成/一寸光陰不可軽は、室町時代の日本の禅僧の作という。

専門家によれば、明治政府検定の漢文の教科書が朱子の作として広まったはじまりとのこと。
朱子の権威を借り誤解を広めたのだとすれば、本末転倒だ。

文部科学省が、組織的に「天下り」をあっせんしていたという。
間の悪いことに、小中学校で「道徳」を「教科」に格上げする準備中である。
子どもたちに人の道を説こうとするかたわら、初歩の道徳をないがしろにする。
伝統芸なのだろうか。