2017/8/28付
骨のずいまでシボレーで/あとでひじてつクラウンさ――。小林旭さんの「自動車ショー歌」だ。高度成長のただ中にあった1964年の発表で、庶民憧れの的だった内外の車の名が詞にちりばめられている。むんむんとガソリンの匂いが漂ってきそうな一曲である。
▼以来、半世紀余り。燃料を爆発させて動力を得る車に代わり、コイルや磁石を使う電気自動車(EV)が主役に躍り出る気配だ。中国などで環境規制が厳しくなり、英仏は2040年までにエンジン車の販売を禁止するという。自動運転の技術のレベルアップと相まって、無事故で無公害の移動という夢の実現は近そうだ。
▼しかし、良いことずくめでもないらしい。EVは稼働部品が少なく、構造が従来の車より単純だ。組み立てに必要な人員が大幅に減ると予想されている。系列のメーカーへの影響も大きく、雇用にとり打撃となりかねない。さらに、充電の際の電力を何で生み出すかによって、地球環境やエネルギーの需給も左右しそうだ。
▼小林さんのショー歌は、ビッグバンドを背にアキラ節で朗々と歌われた。そこには焼け跡から立ち上がり、何とか車という豊かさを手にした自負も響いている。ならば、理想の新技術の発展へ、我々も多くのハードルを越え、21世紀のショー歌を奏でよう。テスラに、リーフにアイ・ミーブ……。まだ曲には足りないな。
要約
[300/300文字]
小林旭さんの「自動車ショー歌」は高度成長の1964年の発表で、庶民憧れの的だった内外の車の名が詞にちりばめられている。
以来、半世紀余り。
燃料を爆発させて動力を得る車に代わり、コイルや磁石を使うEVが主役に躍り出る気配だ。
自動運転の技術のレベルアップと相まって、無事故で無公害の移動という夢の実現は近そうだ。
しかし、EVは組み立てに必要な人員が大幅に減ると予想され、雇用にとり打撃となりかねない。
さらに、充電の際の電力を何で生み出すかによって、地球環境やエネルギーの需給も左右しそうだ。
小林さんのショー歌は、焼け跡から立ち上がり、車という豊かさを手にした自負も響いている。
ならば、理想の新技術の発展へ、我々も多くのハードルを越え、21世紀のショー歌を奏でよう。
[191/200文字]
庶民憧れの的だった車の名が詞にちりばめられた「自動車ショー歌」から半世紀余り。
EV車が主役に躍り出る気配だ。
自動運転の技術のレベルアップと相まって、無事故で無公害の移動という夢の実現は近そうだ。
しかし、EV組み立てには必要な人員が大幅に減ると予想され、充電の際の電力を何で生み出すかによって、地球環境やエネルギーの需給も左右しそうだ。
理想の新技術の発展へ、我々も多くのハードルを越え、21世紀のショー歌を奏でよう。