2017/7/1付
熊本生まれの作家、石牟礼道子さんが最近エッセーで明かしている。「幼いころ、この世で一番えらいのは『セイショコさま』という神様だと思っていた」。道普請を請け負う「石屋」の父が畏れるようにその名を口にしたという。熊本城を築いた加藤清正公のことだ。
▼セイショコは名城のみならず、開墾や治水でも肥後の礎を築いた。精神的な支柱として城の一角にまつられ、信仰を集めている。だが、昨春の大地震で城の石垣は一部が崩れたままだ。2週間前に訪ねると、落ちた石一つ一つに番号がふられ、芝に並べてある。10万個を20年かけ積み直す計画という。気が遠くなるようだ。
▼シンボルである大天守では工事用の足場が組まれ、復興のつち音が響きわたっている。再建は順調とみえる。それでも神社の関係者は気を緩めない。「建物を直すのは、まだ簡単。城で大切なのは土台、石垣をちゃんと修復することですよ」。心に響く言葉だ。城だけではない。人づくり組織づくりにも当てはまるだろう。
▼加計問題や閣僚の失言など自民党への逆風の中、都議選が最終盤である。「落城1日」と安倍首相の危機感は強い。憲法改正などを見据えた政権の土台づくりの難しさを感じていよう。酔わず、おごらず1強を保てるか。皇居に残る江戸城の富士見櫓(やぐら)の石垣は熊本城を模したとも伝えられる。何かヒントがあるかもしれぬ。
要約
[280/300文字]
昨春の大地震で熊本城の石垣の一部が崩れた。
10万個を20年かけ積み直す計画という。
シンボルである大天守では工事用の足場が組まれ、復興のつち音が響きわたっている。
再建は順調とみえる。
城で大切なのは土台、石垣をちゃんと修復することと、神社の関係者は気を緩めない。
城だけではない。
人づくり組織づくりにも当てはまるだろう。
加計問題や閣僚の失言など自民党への逆風の中、都議選が最終盤である。
「落城1日」と安倍首相の危機感は強い。
憲法改正などを見据えた政権の土台づくりの難しさを感じていよう。
酔わず、おごらず1強を保てるか。
皇居に残る江戸城の富士見櫓の石垣は熊本城を模したとも伝えられる。
何かヒントがあるかもしれぬ。
[193/200文字]
昨春の大地震で熊本城の石垣の一部が崩れた。
シンボルである大天守では工事用の足場が組まれ、復興のつち音が響きわたっている。
城で大切なのは土台、石垣の修復だと、神社の関係者は気を緩めない。
人づくり組織づくりにも当てはまるだろう。
加計問題や閣僚の失言など自民党への逆風の中、都議選が最終盤。
「落城1日」と安倍首相の危機感は強い。
憲法改正などを見据えた政権の土台づくりの難しさを感じていよう。
酔わず、おごらず1強を保てるか。