2017/5/7付
一見、アートのようである。東京は中野の宝仙寺や、さらに西の小金井神社に立つ石臼を供養する塚だ。何十台もが小山のように積み上げてある。明治時代までどの農家にもあった家財らしい。しかし、小麦粉や米粉が容易に店で買えるようになり、使われなくなった。
▼民俗学者の小川直之さんによると、江戸期の文献は石臼を「所帯道具の内、第一重宝なるもの」と評す。ひかれた粉は下部と上部のすき間から自然に出てくる仕組みだった。加えて、摩擦熱が高まらない利点もあった。家族の食生活を下支えした必需品である。用済みとなった後も寺社で祈りの対象とされたゆえんだろう。
▼民話では石臼が富の源泉としても扱われた。「海の水はなぜからい?」などの題で北欧や日本に伝わる。貧しい弟が小人からまんじゅうと引き換えに何でも出てくる不思議な臼をもらった。弟は米や家を出して一夜で長者になる。金持ちでケチな兄が知って恨むまいことか。兄は臼を盗み、船に甘い物も積んで海へ逃げた。
▼途中、塩を欲し「出ろ」と臼を回すが、止め方を知らない。重さで船は沈み、臼は今も海底で塩を出し続けている……。保護主義的言動で利を独り占めしようとしたり、「核心」や「1強」の名の下に権力を集中させたりしては、思わぬ結末が待つ恐れもある。語呂合わせでコナモンの日。「強欲」への自戒、お忘れなく。
要約
[300/300文字]
石臼は明治時代までどの農家にもあった家財だった。
しかし、小麦粉や米粉が容易に店で買えるようになり、使われなくなった。
石臼は家族の食生活を下支えした必需品である。
用済みとなった後も寺社で祈りの対象とされたゆえんだろう。
民話では石臼が富の源泉として北欧や日本に伝わる。
貧しい弟が小人から何でも出てくる臼をもらった。
弟は米や家を出して長者になる。
兄は臼を盗み、船に積んで海へ逃げた。
途中、塩を欲し臼を回すが、止め方を知らない。
重さで船は沈み、臼は今も海底で塩を出し続けている……。
保護主義的言動で利を独り占めしようとしたり、「核心」や「1強」の名の下に権力を集中させたりしては、思わぬ結末が待つ恐れもある。
語呂合わせでコナモンの日。
「強欲」への自戒、お忘れなく。
[197/200文字]
石臼は明治時代までどの農家にもあった。
しかし、小麦粉や米粉が容易に買えるようになり、使われなくなった。
石臼は家族の食生活を下支えした必需品である。
用済みとなった後も寺社で祈りの対象とされたゆえんだろう。
民話では石臼が富の源泉として北欧や日本に伝わる。
保護主義的言動で利を独り占めしようとしたり、「核心」や「1強」の名の下に権力を集中させたりしては、思わぬ結末が待つ恐れもある。
語呂合わせでコナモンの日。
「強欲」への自戒、お忘れなく。