2016/12/15付
30年ほど前、仏タイヤメーカーのブラジル法人社長をつとめていたカルロス・ゴーン氏の憩いの場はゴム農園だった。インフレが深刻ななか木々を巡れば心が安らいだ。農園はまた企業の経営を考える場でもあった。自著「ルネッサンス―再生への挑戦」に書いている。
▼木を育ててゴム原料の樹液を採るには、いくつものプロセスを踏む必要がある。「一年かけて土地を耕し、豊かな土壌を作り、翌年タネを蒔(ま)く」。樹液を得るまでには7年を要した。ビジネスにも通じると思ったという。成果を上げるにはどのプロセスもおろそかにできず、どこか省略すれば「ろくなことにならない」と。
▼リコール隠しに燃費不正と不祥事が後を絶たない企業体質の改善も、一つ一つを丁寧に直すことが欠かせまい。ゴーン氏が日産自動車社長のまま三菱自動車会長に就いた。組織が縦割りで不正が見逃されやすい、消費者目線が足りない、品質管理部門の力が弱い……。考えられるすべての問題に正面から向き合ってほしい。
▼ブラジルの農園でゴーン氏は、ゴムの木に向かない広大な土地には絶滅の危機に瀕(ひん)した種などを植林することにした。降雨が増える効果も狙った。美しい景観に変わった土地はその後、従業員らから、「ゴーン・ガーデン」と命名された。社内に一体感が出てきた表れでもあったろう。三菱自動車では何が始まるだろうか。
要約
[297/300文字]
仏タイヤメーカーのブラジル法人社長だったカルロス・ゴーン氏にとってゴム農園は憩いの場であり企業の経営を考える場でもあった。
木を育てゴム原料の樹液を得ることはビジネスにも通じると思ったという。
成果を上げるにはどのプロセスもおろそかにできず、どこか省略すれば「ろくなことにならない」と。
ゴーン氏が日産自動車社長のまま三菱自動車会長に就いた。
リコール隠しに燃費不正と不祥事が後を絶たない企業体質の改善も、一つ一つを丁寧に直すことが欠かせまい。
ブラジルの農園でゴーン氏が植林し美しい景観に変わった土地はその後、従業員らから、「ゴーン・ガーデン」と命名された。
社内に一体感が出てきた表れでもあったろう。
三菱自動車では何が始まるだろうか。
[199/200文字]
仏タイヤメーカーのブラジル法人社長だったカルロス・ゴーン氏の憩いの場であり企業経営を考える場がゴム農園だった。
ゴム原料の樹液を得ることはビジネスにも通じると思ったという。
成果を上げるのプロセスのどこか省略すれば「ろくなことにならない」と。
ゴーン氏が日産自動車社長のまま三菱自動車会長に就いた。
リコール隠しに燃費不正と不祥事が後を絶たない企業体質の改善を丁寧に直すことが欠かせまい。
三菱自動車では何が始まるだろうか。