[春秋要約161216]国政の伝統である「痛み」の先送りを西本願寺の「すす払い」を見習い払い出したい。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2016/12/16付

師走の京の風物詩、西本願寺の「すす払い」は20日行われる。何百枚もの畳を竹棒でたたき、大うちわであおぐあの行事だ。だが、今年はさま変わりする。実は寺は今、新しい門主の就任を伝える法要のさなかで、畳を上げ2千脚のイスを固定した。高齢者への配慮だ。
▼たたくべき畳がなく、イスや柱へのふき掃除がメーンになるのだという。蓮如のころ始まったとされ、500年以上続くすす払いだが、担当者は今年の変化について「初めてではないでしょうか」とサラリと言った。状況の変化に機敏に応え、前例にとらわれない合理的な手段を選ぶ。伝統に裏打ちされた柔軟さを感じる。
▼今年、国際ニュースの主役は英米だった。英国は欧州連合(EU)からの離脱が決まり、米国ではトランプ氏が次期大統領に躍り出た来年も余波は続く。世界の盟主となった経験のある両国は、民主主義や外交の先輩格でもある伝統が秘める手さばきで内外の「分断」の傷をどういやすか。その動向に各国が注目する
▼一方、国内をみれば「痛み」を先送りする伝統が際立った年のようである。消費税の10%への引き上げを再延期し、他の税制への切り込みや農政の立て直しも道半ばだ。「伝統とは改革の連鎖である」と喝破する芸術家もいる。それに照らせば我が方の策は「悪習」の類いか。すす払いの大うちわで、払い出したいものだ。

要約

[300/300文字]
西本願寺の「すす払い」は今年はさま変わりする。
高齢者への配慮で畳を上げ2千脚のイスを固定した。

たたくべき畳がなく、イスや柱へのふき掃除がメーンになるのだという。
状況の変化に機敏に応え、前例にとらわれない合理的な手段を選ぶ。
伝統に裏打ちされた柔軟さを感じる。

今年、英国はEUからの離脱が決まり、米国ではトランプ氏が次期大統領に躍り出た。
世界の盟主となった経験のある民主主義や外交の先輩は伝統の手さばきで内外の「分断」の傷をどういやすか注目だ。

一方、国内では「痛み」を先送りする伝統が際立った。
消費税10%への引き上げ再延期、他の税制への切り込みや農政の立て直しも道半ばだ。
「伝統とは改革の連鎖である」と喝破する芸術家もいる。
我が方の「悪習」を払い出したいものだ。

[188/200文字]
西本願寺は高齢者への配慮で畳を上げ2千脚のイスを固定したため、今年の「すす払い」はふき掃除がメーンだという。
伝統に裏打ちされた柔軟さを感じる。

今年、英国はEUからの離脱、米国ではトランプ氏が次期大統領に。
民主主義や外交の先輩は伝統の手さばきで内外の「分断」の傷をどういやすか注目だ。

一方、国内の伝統は「痛み」の先送り。
消費税10%への引き上げ再延期、他の税制への切り込みや農政立て直しも道半ば。
この「悪習」を払い出したい。