2017/3/12付
「思い知ったか」。接待役がいきなり、大先輩に切りつけた。大事な催しの直前。江戸城内でのけんかである。大騒ぎになった。斬った赤穂の殿様は切腹となり藩はつぶれる。太平の世をあっと驚かせる「忠臣蔵」の始まりだった。300年以上前のいまごろのことだ。
▼原因はわかっていない。武士のこけんにかかわる。よほどの恨みがあったのだろう。こけんは、体面や品格を意味する。もとは売り買いに使う紙、沽券(こけん)のことだ。平安のころに、土地の売買などで登場した。話がまとまると、売り主が、買い手に渡す。いくらで、だれに売ったのか。みんなに証明できる大切な証文だった。
▼国有地売買をめぐる「森友学園」問題はびっくり箱だ。疑惑が次々に飛び出した。理事長は小学校の認可申請を取り下げたが、自説をならべるだけで、多くの疑問に答えていない。驚くほどの安値のわけも、いまだに、はっきりしない。国や大阪府に出した校舎建設費はすべて食い違っていた。なぞは深まるばかりである。
▼四十七士はプライドに命をかけた。土地の証文は時をへて、体面などをさすようになった。内容にごまかしやウソがあれば、品格が傷つくからだろう。国の土地の利用や学校の設立に、インチキはなかったのか。政治家はどこまでからんだのか。なぞ解きはやはり国会の仕事だ。知らぬふりでは、政治のこけんにかかわる。
要約
[294/300文字]
「忠臣蔵」では接待役がいきなり、大先輩に切りつけた。
斬った赤穂の殿様は切腹となり藩はつぶれる。
武士のこけんにかかわるほどの恨みがあったのだろう。
こけんは、体面や品格を意味する。
もとは平安のころに土地の売買などで登場した沽券のことだ。
いくらで、だれに売ったのか。
みんなに証明できる大切な証文だった。
国有地売買をめぐる「森友学園」問題で、理事長は多くの疑問に答えていない。
驚くほどの安値のわけもはっきりしない。
国や大阪府に出した校舎建設費はすべて食い違っていた。
なぞは深まるばかりである。
国の土地の利用や学校の設立に、インチキはなかったのか。
政治家はどこまでからんだのか。
なぞ解きはやはり国会の仕事だ。
知らぬふりでは、政治のこけんにかかわる。
[187/200文字]
「忠臣蔵」では武士のこけんにかかわるほどの恨みがあったのだろう。
こけんは、体面や品格を意味する。
沽券とは平安のころ登場した土地の売買などを証明できる証文だ。
国有地売買をめぐる「森友学園」問題で、理事長は多くの疑問に答えていない。
なぞは深まるばかりである。
国の土地の利用や学校の設立に、インチキはなかったのか。
政治家はどこまでからんだのか。
なぞ解きはやはり国会の仕事だ。
知らぬふりでは、政治のこけんにかかわる。