[春秋要約170602]票につながる業界保護を優先した改正酒税法などが施行。緩めてきた規制が逆戻りだ。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/6/2付

「ほととぎす自由自在に聞く里は酒屋へ三里 豆腐屋へ二里」。江戸後期の狂歌師、頭光(つむりのひかる)の作だ。花鳥風月を楽しめる風流な土地は酒屋も豆腐屋も遠くて不便だなあ、というわけである。とりわけ酒は切らしたとなると、打つ手がない。近場に店あってこそだったろう。
▼ところが昨今は、ほととぎすの鳴きわたる山里に住んでいたってネット通販でいろいろ届けてもらえる。クルマを駆って街道沿いの量販店に出向き、特売のビールや焼酎の大瓶をまとめ買いすることもできる町の酒販店が、さほどありがたくなくなってきたのだ。商店街を歩いても、顔役の酒屋さんに往年の元気はない
▼ならば、このさいライバルを封じ込めようということらしい。「行き過ぎた安売り」を禁止する改正酒税法などが施行された。たしかに不当廉売は問題だが、公正取引委員会が取り締まればいい。なぜ酒類だけが特別扱いの法律で守られるのか。消費者利益は二の次に、票につながる業界保護を優先したのが透けて見える。
酒販店は昔から政治的な存在だった。酒屋へ三里……ほどではないが、かつては店と店との間の距離基準もあった。そんな規制を緩めてきたのに逆戻りである。法律は威力抜群で、初日のきのう、スーパーをのぞくと一斉に値上げしていた。商店街の酒屋さんはこれで安堵したのかどうか。いつもどおり暇そうではあった。

要約

[285/300文字]
酒屋は近場に店あってこそ。

ところが昨今は、ネット通販でいろいろ届けてもらえる。
クルマを駆って街道沿いの量販店で、特売のビールや焼酎の大瓶をまとめ買いすることもできる。
商店街を歩いても、顔役の酒屋さんに往年の元気はない。

ならば、このさいライバルを封じ込めようということで、「行き過ぎた安売り」を禁止する改正酒税法などが施行された。
不当廉売は問題だが、公正取引委員会が取り締まればいい。
なぜ酒類だけが特別扱いの法律で守られるのか。
消費者利益は二の次に、票につながる業界保護を優先したのが透けて見える。

酒販店は昔から政治的な存在だった。
かつては店と店との間の距離基準もあった。
そんな規制を緩めてきたのに逆戻りである。

[196/200文字]
商店街で顔役の酒屋さんに往年の元気はない。
昨今は、ネット通販でいろいろ届けてもらえる。
量販店でまとめ買いすることもできる。

ライバルを封じ込めようと、改正酒税法などが施行。
不当廉売は問題だが、公正取引委員会が取り締まればいい。
なぜ酒類だけが特別扱いの法律で守られるのか。
消費者利益は二の次に、票につながる業界保護を優先したのが透けて見える。

かつては店と店との間の距離基準もあった。
そんな規制を緩めてきたのに逆戻りである。