[春秋要約161127]関心ある主張だけを集め先鋭となる「自分筋」での行動を内外のニュースに思い起こす。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2016/11/27付

作家の安部譲二さんは1975年、銃の不法所持などの罪で東京の府中刑務所に収監中だった。所内の木工工場では、徳島大中退で、赤軍派メンバーの城崎勉被告と席がとなりだったという。眼鏡の奥の澄んだ瞳を輝かせ、革命へ一生をささげる、と話していたらしい。
被告は77年、ダッカの日航機ハイジャック事件で、乗客の命と引き換えに「超法規的措置」で釈放された。86年にジャカルタでの大使館襲撃に関与したとされ、米国で十数年、服役した後、日本で起訴。先日、懲役12年の判決が下った。68歳で、団塊の世代である。法廷では「余生は故郷で過ごしたい」とも話したという。
▼社会学者の竹内洋さんは60年代末の学園紛争の高揚を学生の境遇の変化から分析している大学進学率が3割に近付き進路が経営幹部候補や知的専門職でなくなった自分は教養あるエリートとは無縁のただのサラリーマンになるのだ、との不満も背景にあったという。一部は社会変革に走り運動は現実から遊離した
▼70年代に撮られた活動家の手配写真を街頭で見る。一時の激情からの行動が、いかに長く世に残響するか。今、政治の主張はネットで発信される例も多い。受け手は自ら関心ある情報しか集めない。結局、視野は狭まり先鋭となる竹内さんはこの傾向を「自分筋」と名付け戒めた。内外のニュースに、思い起こす一言だ。

要約

[299/300文字]
東京の府中刑務所に収監中で、革命へ一生をささげると話していた赤軍派メンバーの城崎勉被告は77年釈放された。

86年にジャカルタでの大使館襲撃に関与したとされた事件で、先日懲役12年の判決が下った。
68歳で、団塊の世代である。

社会学者の竹内洋さんは60年代末の学園紛争の高揚は、大学進学率が3割に近付き、エリートではなくただのサラリーマンになるとの不満が背景にあったという。
一部は社会変革に走り、運動は現実から遊離した。

一時の激情からの行動が、いかに長く世に残響するか。
今、政治の主張はネットで発信される例も多い。
受け手は自ら関心ある情報しか集めず、視野は狭まり先鋭となる。
竹内さんはこの傾向を「自分筋」と名付け戒めた。
内外のニュースに、思い起こす一言だ。

[198/200文字]
社会学者の竹内洋さんは60年代末の学園紛争の高揚は、大学進学率が3割に近付き、エリートではなくただのサラリーマンになるとの不満が背景にあったという。
一部は社会変革に走り、運動は現実から遊離した。

一時の激情からの行動が、いかに長く世に残響するか。
今、政治の主張はネットで発信される例も多い。
受け手は自ら関心ある情報しか集めず、視野は狭まり先鋭となる。
竹内さんはこの傾向を「自分筋」と名付け戒めた。
内外のニュースに、思い起こす一言だ。