[春秋要約161228]大火が襲った糸魚川市同様の木密地域は日本中に多い。諦めて対策を怠ると災厄を招く。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1

2016/12/28付

鴨長明は「方丈記」に、平安京を襲った大火のありさまを生々しく描いている。1177年4月、強風すさぶ夜の記録だ。都の東南から出た火はあっという間に官庁街に及ぶ空は真っ赤に染まり「吹き切られたる焔(ほのお)、飛ぶがごとくして一、二町を越えつつ移りゆく」。
炎は建物を次から次へとのみ込んでいくだけでなく、風に乗って「飛ぶ」。その恐ろしさを長明は克明に記したわけだ。火の玉が100メートルも200メートルも遠くに飛び、あちこちで新たな出火を引き起こしたのだろう。それと同じ光景を新潟県糸魚川市の大火は見せつけた。焼失面積4ヘクタール。「飛ぶ炎」の目撃証言が少なくない
▼そういう魔物の襲来にひとたまりもない木造建築の密集ぶりも、往時とあまり変わらないのかもしれない。消防能力は平安時代とはまるでちがうはずだが、入り組んだ細い路地は消火活動を妨げ災いを広げた。同様の場所は日本中にあるという。東京では山手線の外側がドーナツ状の巨大な木造住宅密集(木密(もくみつ))地域だ
▼そこに住むのは生身の人間だから、あれこれ対策は練られていても簡単には進まない。とはいえ放っておけば、将来どんな災厄を招くことだろう。「方丈記」はその前半が当時のさまざまな災害のルポであり作者が無常観を深めていく背景をなす。800年余を経た現代の社会が、よもやそんな諦念を抱いてはなるまい

要約

[300/300文字]
鴨長明は「方丈記」に、平安京を襲った大火のありさまを生々しく描いている。
空は真っ赤に染まり「吹き切られたる焔、飛ぶがごとくして一、二町を越えつつ移りゆく」。
それと同じ光景を新潟県糸魚川市の大火は見せつけた。
焼失面積4ヘクタール。
「飛ぶ炎」の目撃証言が少なくない。

木造建築が密集し、入り組んだ細い路地は消火活動を妨げて災いを広げた。
同様の場所は日本中にあるという。
東京では山手線の外側がドーナツ状の巨大な木密地域だ。

あれこれ対策は練られていても簡単には進まない。
とはいえ放っておけば、将来どんな災厄を招くことだろう。
「方丈記」はその前半が当時の災害のルポで、作者が無常観を深めていく背景をなす。
800年余を経た現代の社会が、よもやそんな諦念を抱いてはなるまい。

[196/200文字]
新潟県糸魚川市の大火は、「方丈記」に生々しく描かれた平安京を襲った大火と同様の光景を見せつけた。

木造建築が密集し、入り組んだ細い路地は消火活動を妨げて災いを広げた。
同様の場所は日本中にあり、東京では山手線の外側がドーナツ状の巨大な木密地域だ。

あれこれ対策は練られていても簡単には進まない。
とはいえ放っておけば、将来災厄を招くだろう。
800年余を経た現代の社会が、無常観を深める「方丈記」の鴨長明のような諦念を抱いてはなるまい。