2017/1/3付
今年秋に完成した後は、おそらく人気スポットになるであろう施設の建設が進んでいる。場所は東京都内にある閑静な住宅街の一画。作家の夏目漱石が晩年に住んだ家の跡に新宿区が記念館を建て、空襲で焼けた書斎やベランダなどを復元、庭の一部も再現するという。
▼戦後は公営住宅や公園として使われてきた。いったんは漱石との関連を忘れられた土地だ。今後は古い資料なども集め、観光だけでなく研究の拠点にもする。漱石の本格的な記念館は全国でも初だそうだ。昨年が没後100年、今年が生誕150年。49年の生涯が生んだ言葉の数々が、時を経てますます注目を集めている。
▼文豪のイメージとは違い、歩みは泰然自若とは遠い。留学で心は疲れ果て、奉職した大学は数年で辞めた。迎え入れられた新聞社でも後に冷ややかな扱いを受けている。病に悩まされつつ読者を引きつける連載を亡くなるまでつづり続けた。そんな仕事人としての苦労や曲折を知れば、改めて親しみを覚える向きもあろう。
▼家族には厳しかったが、死の間際、涙を流す娘に「もう泣いてもいいよ」と優しく声をかけたという(十川信介著「夏目漱石」)。小説では男らしさになじめない「悩む男」を描き、評論では国家主義を嫌い自由主義を擁護した。多くの人にとって明日は仕事始め。1世紀を経た言葉に、今を生きるヒントを探すのもいい。
要約
[299/300文字]
夏目漱石が晩年に住んだ家の跡に新宿区が記念館を建て、書斎やベランダなどを復元、庭の一部も再現する。
今年秋に完成した後は、おそらく人気スポットになるであろう。
今後は古い資料なども集め、観光だけでなく研究の拠点にもする。
漱石の本格的な記念館は全国でも初だそうだ。
昨年が没後100年、今年が生誕150年。
49年の生涯が生んだ言葉の数々が、時を経てますます注目を集めている。
文豪のイメージとは違い、歩みは泰然自若とは遠い。
仕事人としての苦労や曲折を知れば、改めて親しみを覚える向きもあろう。
小説では男らしさになじめない「悩む男」を描き、評論では国家主義を嫌い自由主義を擁護した。多くの人にとって明日は仕事始め。
1世紀を経た言葉に、今を生きるヒントを探すのもいい。
[194/200文字]
夏目漱石が晩年に住んだ家の跡に記念館を建つ。
観光だけでなく研究の拠点にもする。
完成すれば人気スポットになるであろう。
昨年が没後100年、今年が生誕150年。
文豪のイメージとは違い、歩みは泰然自若とは遠い。
仕事人としての苦労や曲折を知れば、改めて親しみを覚える向きもあろう。
小説では男らしさになじめない「悩む男」を描き、評論では国家主義を嫌い自由主義を擁護した。明日は仕事始め。
1世紀を経た言葉に、今を生きるヒントを探すのもいい。