[春秋要約170216]殺害された金正男氏のフーテンの風情は正恩氏から身を守るすべだったのかもしれない。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/2/16付

家を飛び出し、あちこち渡り歩く奔放な異母兄――といえば「男はつらいよ」の寅さんである。本妻の子である妹さくらの心配をよそに、父と芸者の間に生まれたこの兄は足の向くまま気の向くままの自由人だ。ふるさと葛飾柴又の実直な面々とはまるで肌合いが違う
▼北朝鮮の金正男なる人を寅さんに重ねてみたら、映画のファンに怒られるだろうか。しかし亡くなった金正日総書記の長男なのに異母弟の正恩氏とは距離を置き、ひょうひょうとしてアジア各地に出没する姿はやはりフーテンの寅であった。陰惨な空気の漂う金ファミリーのなかで、人間の顔が見えていたのは確かである。
▼そんな正男氏らしき男性が、マレーシアの空港で殺害されたという。衆人環視のターミナル内で北朝鮮の女性工作員に毒針を刺された毒液をかけられた、などと報じられている。中国の保護下に置かれた兄の復権の芽を、かの異母弟が念のために摘んだ……という解説もあって背筋の凍ること甚だしい。いまは何世紀か
▼これでは寅さんワールドとかけ離れ、映画は映画でもおどろおどろのスパイものだ。これまでも多くの幹部や側近を粛清してきたとされる正恩氏だが、その疑心はとどまるところを知らぬようである。異郷をさまよった兄も、じつはずっと前から狙われていたという。フーテンの風情は身を守るすべであったかもしれない。

要約

[290/300文字]
家を飛び出し、あちこち渡り歩く奔放な異母兄といえば「男はつらいよ」の寅さんである。

金正日総書記の長男なのに異母弟の正恩氏とは距離を置き、ひょうひょうとしてアジア各地に出没する金正男の姿はフーテンの寅であった。
陰惨な空気の漂う金ファミリーのなかで、人間の顔が見えていたのは確かである。

そんな正男氏らしき男性が殺害された。
兄の復権の芽を、正恩氏が念のために摘んだ……という解説もあって背筋の凍ること甚だしい。

これまでも多くの幹部や側近を粛清してきたとされる正恩氏の疑心はとどまるところを知らぬようである。
異郷をさまよった兄も、じつはずっと前から狙われていたという。
フーテンの風情は身を守るすべであったかもしれない。

[187/200文字]
金正日総書記の長男なのに異母弟の正恩氏とは距離を置き、ひょうひょうとしてアジア各地に出没する金正男の姿はフーテンの寅であった。
陰惨な空気の漂う金ファミリーのなかで、人間の顔が見えていたのは確かである。

そんな正男氏らしき男性が殺害された。
兄の復権の芽を、正恩氏が念のために摘んだという。

異郷をさまよった兄も、じつはずっと前から狙われていたという。
フーテンの風情は身を守るすべであったかもしれない。