2016/9/20付
音が放射状に広がるよう設計した壁掛けラジオ、缶詰を回転させながらカッターが蓋を開ける電気缶切り――。どれも実際に発売された製品だ。技術者の工夫と苦労がうかがえる。東京の足立区立郷土博物館で始まった、昭和30年代を中心とした家電の展覧会を訪ねた。
▼レトロ家電収集家、増田健一さんのコレクションを展示。中でも彼のお気に入りが、トースト、ホットミルク、目玉焼きを1台で作れる調理器だ。まず備え付けの鍋でミルクを温め、次にプレートに卵を落とし、最後に内蔵のトースターにパンを入れる。同じころ3品とも出来上がるという。調理の慌ただしさはご愛嬌(あいきょう)か。
▼思いついたアイデアは形にしてみよう。消費者が求めそうなものはまず作ってみよう。昭和30年代、日本の家電メーカーにはそんな空気があったと増田さんはみる。のびのびとした環境が「おもしろ家電」を生んだといえよう。その後、型破りな製品が姿を消していったのは、社内の統制が強まった影響なのかもしれない。
▼統制強化もおかしな方向に行くと問題だ。東芝では上にモノを言いにくい雰囲気が生まれ、損失先送りの是正を求める声が広がらず会計操作が放置された。管理体制の改善について東京証券取引所への報告があったが、社内の風通しは良くなったのかどうか。1台3役の調理器を作ったのは東芝だ。闊達な組織に戻れるか。
要約
[290/300文字]
足立区立郷土博物館で始まった昭和30年代を中心とした家電の展覧会を訪ねた。
技術者の工夫と苦労がうかがえる。
思いついたアイデアは形にしてみよう。
消費者が求めそうなものはまず作ってみよう。
昭和30年代、日本の家電メーカーにはそんな空気があった。
その後、型破りな製品が姿を消していったのは、社内の統制が強まった影響なのかもしれない。
統制強化もおかしな方向に行くと問題だ。
東芝では上にモノを言いにくい雰囲気が生まれ、損失先送りの是正を求める声が広がらず会計操作が放置された。
管理体制の改善について東京証券取引所への報告があったが、社内の風通しは良くなったのかどうか。
1台3役の調理器を作ったのは東芝だ。
闊達な組織に戻れるか。
[195/200文字]
足立区立郷土博物館で始まった昭和30年代を中心とした家電の展覧会を訪ねた。
思いついたアイデアは形にしてみよう。
消費者が求めそうなものはまず作ってみよう。
日本の家電メーカーにはそんな空気があった。
型破りな製品が姿を消していったのは、社内の統制が強まった影響なのかもしれない。
東芝では統制強化で会計操作が放置された。
東京証券取引所への管理体制の改善報告があったが、社内の風通しは良くなったのか。
闊達な組織に戻れるか。