[春秋要約170320]きょうは春分、暑さ寒さも彼岸まで。青物も小松菜からほうれん草や菜の花へと移る。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/3/20付

東京の下町を散策していて街角の和菓子屋でまんじゅうを買った。二つに割ると、あんこが緑色だ。昨今は抹茶ブームだからな、と思いつつ齧(かぶ)りつくと見当外れだった。草団子風だが、よもぎとはやや味わいが違う。店員に聞くと、菜っ葉を練り込んであるのだそうだ。
▼戦後しばらくまで、隅田川から江戸川にかけては野菜畑があちこちにあった。さかのぼる江戸時代、鷹(たか)狩りに訪れた将軍吉宗が通りがかりの神社で一休みした際、この地の菜っ葉を食べて気に入り、近くを流れる川にちなみ、小松菜と名付けた。そんな言い伝えが残っている(亀井千歩子著「小松菜と江戸のお鷹狩り」)。
▼命名には異説もある。「この菜は何という」と問われた神主が名を知らず、「困ったな」とつぶやいたのを吉宗が聞き違えたというのだ。かなり眉唾っぽいが、話としてはこの方が面白い。いずれせよ、寒さに強い小松菜は冬の食卓に香味と彩りをもたらしてきた。「小松菜の一文束や今朝の霜」。俳人の小林一茶の句だ。
きょうは春分暑さ寒さも彼岸までとよくいうが、青物の主役も小松菜からほうれん草や菜の花へと移っていく季節である。調理方法も菜の花となると、鍋ものでなく、やはりおひたしだろう。酒のさかなにもよいが、おにぎりの具にするのも悪くない。あの和菓子屋でも練り込む具材を変えるのだろうか。聞きそびれた。

要約

[285/300文字]
東京の下町の和菓子屋で買ったまんじゅうには菜っ葉が練り込んであった。

さかのぼる江戸時代、鷹狩りに訪れた将軍吉宗が通りがかりの神社で一休みした際、この地の菜っ葉を食べて気に入り、近くを流れる川にちなみ、小松菜と名付けた。
そんな言い伝えが残っている。

命名には異説もある。
「この菜は何という」と問われた神主が名を知らず、「困ったな」とつぶやいたのを吉宗が聞き違えたというのだ。
いずれせよ、寒さに強い小松菜は冬の食卓に香味と彩りをもたらしてきた。

きょうは春分。
暑さ寒さも彼岸までとよくいうが、青物の主役も小松菜からほうれん草や菜の花へと移っていく季節である。
あの和菓子屋でも練り込む具材を変えるのだろうか。
聞きそびれた。

[189/200文字]
江戸時代、将軍吉宗がこの地の菜っ葉を食べて気に入り、近くを流れる川にちなみ、小松菜と名付けたという言い伝えが残っている。

命名には異説もある。
菜の名を問われた神主が知らず、「困ったな」とつぶやいたのを吉宗が聞き違えたというのだ。
いずれせよ、寒さに強い小松菜は冬の食卓に香味と彩りをもたらしてきた。

きょうは春分。
暑さ寒さも彼岸までとよくいうが、青物の主役も小松菜からほうれん草や菜の花へと移っていく季節である。