2017/3/25付
「例の案件、こっちの関連だから」と先輩が親指なぞ立てて目配せする。「わかってます」と後輩。正式な指示でも機関決定でもないが、なぜか最優先事項となる。「聞いてないですよ」と反論しようものなら、KY(空気読めない)とレッテル貼りされるのが落ちか。
▼日本中、どの職場でもありそうな、上役やら得意先の意向の「忖度(そんたく)」である。言葉の意味自体「他人の心中をおしはかること」(広辞苑)とニュートラルだ。しかし、実際に使われる時は「力を持つ上の者の気持ちを先取りし、機嫌を損ねぬよう処置すること」といったニュアンスになろうか。書いていて嫌な汗がにじむ。
▼「神風が吹いたと思った」。森友学園をめぐる国会の証人喚問の場で、籠池泰典理事長はこんな表現をした。小学校の設立に当て込んだ国有地が、ゴミを理由に大幅に値引きされて払い下げられた一件についてだ。首相夫人と学園の関係や国会議員による「言葉がけ」が、財務省や出先の判断に影響を及ぼしてはいないか。
▼「重層的な忖度メカニズム」。今回、こんなものが働いたかと疑われる。理事長は首相と信条の近さを強調し、夫人付の職員名で問い合わせもあった。公開文書では確かに「ゼロ回答」だが、連絡すること自体、役所へのボディーブローだったかもしれない。究明に必要な交渉の記録は廃棄された。忖度なら度が過ぎよう。
要約
[299/300文字]
日本中、どの職場でもありそうな、上役やら得意先の意向の「忖度」。
言葉の意味は「他人の心中をおしはかること」とニュートラルだが、実際は「力を持つ上の者の気持ちを先取りし、機嫌を損ねぬよう処置すること」といったニュアンスになろうか。
「神風が吹いたと思った」。
森友学園の小学校建設予定の国有地が、ゴミを理由に大幅に値引きされて払い下げられた一件について籠池泰典理事長はこんな表現をした。
首相夫人と学園の関係や国会議員による「言葉がけ」が、財務省や出先の判断に影響を及ぼしてはいないか。
「重層的な忖度メカニズム」が働いたかと疑われる。
公開文書にはないが、連絡自体、役所へのボディーブローだったかもしれない。
究明に必要な交渉の記録は廃棄された。
忖度なら度が過ぎよう。
[197/200文字]
「神風が吹いたと思った」。
森友学園の小学校建設予定の国有地が、ゴミを理由に大幅に値引きされて払い下げられた一件について籠池泰典理事長はこんな表現をした。
首相夫人と学園の関係や国会議員による「言葉がけ」が、財務省や出先の判断に影響を及ぼしてはいないか。
「重層的な忖度メカニズム」が働いたかと疑われる。
公開文書にはないが、連絡自体、役所へのボディーブローだったかもしれない。
究明に必要な交渉の記録は廃棄された。
忖度なら度が過ぎよう。