[春秋要約160914]日銀には金融緩和策の「総括的な検証」で副作用や出口も丁寧に説いてほしい。<36文字> #sjdis #sjyouyaku

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2016/9/14付

平安後期、鳥羽上皇の身辺を警護する武人の1人に佐藤義清(のりきよ)がいた儀式の作法や庶民の歌謡である今様に詳しく、まさに文武両道。将来を期待されたが、20代前半で突然、出家してしまう。泣きすがる幼い娘を縁から蹴落とした、と記録に残る。歌人、西行の誕生だ。
親友の死や高貴な女性への実らぬ恋――。世を捨てた理由は種々に取り沙汰される。だが、その漂泊の生涯は、心の機微や自然の情景を伸びやかに詠んだ歌の数々に実を結んだ今の季節なら「いかばかりうれしからまし秋の夜の月すむ空に雲なかりせば」の作品が残る独特の視点からにじむ風情は現代でも色あせない
「願はくは花のしたにて春死なん」の歌は多くの人の憧れの境地へと昇華した感さえある。小林秀雄は西行の歌について「いかにも、やすやすと詠み出されている様に見えて、陰翳(いんえい)は深く濃い」などと評した平明さの中に、多彩な含意とコミュニケーション力を秘めるということか。筆を執る身なら達すべき高みだろう。
日銀は近く金融緩和策の「総括的な検証」をするそうだ。異次元と呼ばれるほどの領域に踏み込んでおよそ3年半。市場や国民はもはや大仰な言葉や紋切り型では納得しない副作用や出口も丁寧に説いてもらいたいところだ。将来への不安という「雲」をはらえれば、西行も歌ったように「いかばかりうれしからまし」。

要約

[280/300文字]
平安後期、鳥羽上皇の身辺を警護する武人の1人に佐藤義清(のりきよ)がいた。
歌人、西行だ。

その漂泊の生涯は、心の機微や自然の情景を伸びやかに詠んだ歌の数々に実を結んだ。
独特の視点からにじむ風情は現代でも色あせない。
平明さの中に、多彩な含意とコミュニケーション力を秘めるということか。
筆を執る身なら達すべき高みだろう。

日銀は近く金融緩和策の「総括的な検証」をするそうだ。
異次元と呼ばれるほどの領域に踏み込んでおよそ3年半。
市場や国民はもはや大仰な言葉や紋切り型では納得しない。
副作用や出口も丁寧に説いてもらいたいところだ。
将来への不安という「雲」をはらえれば、西行も歌ったように「いかばかりうれしからまし」。

[186/200文字]
歌人西行の漂泊の生涯は、心の機微や自然の情景を伸びやかに詠んだ歌の数々に実を結んだ。
独特の視点からにじむ風情は現代でも色あせない。
平明さの中に、多彩な含意とコミュニケーション力を秘めるということか。

日銀は近く金融緩和策の「総括的な検証」をするそうだ。
異次元と呼ばれるほどの領域に踏み込んでおよそ3年半。
市場や国民はもはや大仰な言葉や紋切り型では納得しない。
副作用や出口も丁寧に説いてもらいたい。