[春秋要約170115]自由貿易に後ろ向きなトランプ氏。「比較優位」理論のリカードにコメントを求めたい。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/1/15付

米国の経済学者ポール・サミュエルソンは若いころ、著名な数学者のスタニスワフ・ウラムに問いかけられた。「真理であり、かつ自明でない社会科学の定理を、ひとつ教えてくれ」。自然科学の研究者が社会科学に向ける冷ややかな視線をうかがわせる、逸話である。
▼ご本人の回想によれば、ずいぶんと後になってサミュエルソンは答えを思いついた。英国の経済学者デビッド・リカードが1817年に明らかにした「比較優位」の理論である。明快な論理によって導き出される結論は確かに直観に反し自明とはいいがたい。自由貿易を支える考え方として、世に及ぼした影響も大きい
▼リカードの鮮やかな仕事から200年。現実の世界経済にはいろんなことがあったが、大きな流れとしては自由貿易が広がってきたといえるのではないか。19世紀には英国が、20世紀なかばからは米国が、それぞれ自由貿易を推し進めるエンジンだった。そうした流れはしかし、大きな曲がり角をむかえたのかもしれない。
▼5日後に米国のトップに立つドナルド・トランプ氏第2次世界大戦が終わってからの歴代大統領のなかで、自由貿易に後ろ向きの姿勢は際だってみえる。型破りの言動の背景には、ビジネスで成功をおさめたという自信があるのかもしれない。やはりビジネスで巨富を築いたというリカードに、コメントを求めたくなる

要約

[286/300文字]
経済学者デビッド・リカードが1817年に明らかにした「比較優位」の理論は、明快な論理によって導き出される結論は直観に反し、自明とはいいがたい。
また、自由貿易を支える考え方として世に及ぼした影響も大きい。

現実の世界経済にはいろんなことがあったが、大きな流れとしては自由貿易が広がってきたといえる。
しかし、これまで英国や米国が推し進めた自由貿易の流れは、大きな曲がり角をむかえたのかもしれない。

トランプ氏は第2次世界大戦以降の歴代大統領のなかで、自由貿易に後ろ向きだ。
型破りの言動の背景には、ビジネスで成功をおさめたという自信があるのかもしれない。
やはりビジネスで巨富を築いたというリカードに、コメントを求めたくなる。

[200/200文字]
経済学者デビッド・リカードが1817年に明らかにした「比較優位」の理論は、明快な論理によって導き出される結論は直観に反し、自明とはいいがたい。
また、自由貿易を支える考え方として世に及ぼした影響も大きい。

現実の世界経済にはいろんなことがあったが、これまで英国や米国が推し進め広がってきた自由貿易の流れは、大きな曲がり角をむかえたのかもしれない。

トランプ氏は自由貿易に非常に後ろ向きだ。「比較優位」理論のリカードに、コメントを求めたくなる。