2017/1/17付
「これから何をやるつもりか?」。江戸幕府の大政奉還の直後、西郷隆盛が坂本龍馬に聞いた。「新政府の役人などまっぴらごめんだ。世界の海援隊でもやるかな」。倒幕に奔走した志士の答えに、西郷は二の句がつげなかったそうだ(平尾道雄著「海援隊始末記」)。
▼龍馬が隊長の政治結社・海援隊は貿易商社に育ちつつあった。西洋列強に対抗するには、日本を鎖国の眠りから覚ます。新しい海運国家をつくり世界に乗り出す。その夢を実現できる組織だった。新国家を守るには何が大事かを考えた。刀ではない。ピストルでもない。万国公法(国際法)を学ぶべきだと常に説いていた。
▼龍馬の手紙が新たに見つかった。「新国家」の文字が初めて確認された重要史料だという。海援隊で海運業を営んだことで、国の財政基盤がなにより肝心と痛感していた。手紙では福井藩の重役に、財政通の藩士を早く新政府に派遣するよう求めている。安定した政権ができなければ、海運国家の夢も逃げてしまうからだ。
▼150年後の世界はどうか。中国は南シナ海で勝手に島を埋め立てて軍事基地を造った。ロシアはクリミア半島を武力で併合したままだ。どちらも国際法を無視している。日本が世界で活躍する土台がないがしろにされているのである。幕末の風雲児は、口をとがらせるだろう。「おまんら、ルールは守らんといかんぜよ」
要約
[296/300文字]
江戸幕府の大政奉還の後、坂本龍馬は海援隊を貿易商社に育てた。
西洋列強に対抗するため、日本を新しい海運国家にして世界に乗り出す。
その夢を実現できる組織だった。
新国家を守るには、万国公法(国際法)を学ぶべきだと常に説いていた。
海援隊で海運業を営んだことで、国の財政基盤が肝心と痛感していた。
安定した政権ができなければ、海運国家の夢も逃げてしまうからだ。
150年後の世界はどうか。
中国は南シナ海で勝手に島を埋め立てて軍事基地を造った。
ロシアはクリミア半島を武力で併合したままだ。
どちらも国際法を無視している。
日本が世界で活躍する土台がないがしろにされているのである。
幕末の風雲児は、口をとがらせるだろう。
「おまんら、ルールは守らんといかんぜよ」
[198/200文字]
江戸幕府の大政奉還の後、日本を新しい海運国家にして西洋列強に対抗するため坂本龍馬は海援隊を貿易商社に育てた。
そして新国家を守るには、万国公法(国際法)を学ぶべきだと常に説いていた。
150年後の世界はどうか。
中国は南シナ海で勝手に島を埋め立てて軍事基地を造った。
ロシアはクリミア半島を武力で併合したままだ。
どちらも国際法を無視している。
日本が世界で活躍する土台がないがしろにされているのである。
ルールは守らないといけない。