2017/2/22付
新聞に見出しが躍る「組長」というのはほとんどの場合、暴力団幹部の肩書である。ところがそういう面々とはまったく無縁の乙女の花園、宝塚歌劇団にも「組長」がいるのをご存じだろうか。トップスターとは別の、花組や月組を率いる経験豊富なジェンヌのことだ。
▼「大学の学長が組長と会食」と報じられているから、これはきっと歌劇ファンの先生がベテランの役者さんと懇親の図だ……などと思ったら相手はホンモノの組長だった。京都府立医大病院が暴力団組長の虚偽診断書を作り、刑務所への収監を逃れさせていた疑惑で浮かび上がった「学長・組長」のただならぬ関係である。
▼学長は数年前から、京都の盛り場で組長と何度か食事をともにしていたという。どんな話題で盛り上がったのか、神経の太さにあきれるばかりだ。癒着の果てがウソの診断書作成だったとしたら医療への信頼は地に落ちよう。学長は産学官の連携に熱心だったようだが、そこにもうひとつ「暴」も加えたかったのだろうか。
▼府立医大と協力関係にある民間病院も事件に介在しているとみられ、京都府警は徹底捜査の構えだ。とはいえ、そもそも学長と組長を取り持ったのは、長年にわたり暴力団を担当していた府警のOBだったという。医大と暴力団と刑事と――。こちらの花園には「悪の」を冠するほかあるまい。そしてただ、ため息が出る。
要約
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京都府立医大病院が暴力団組長の虚偽診断書を作り、刑務所への収監を逃れさせていた疑惑で「学長・組長」のただならぬ関係が浮かび上がった。
学長は数年前から、京都の盛り場で組長と何度か食事をともにしていたという。
癒着の果てがウソの診断書作成だったとしたら医療への信頼は地に落ちよう。
学長は産学官の連携に熱心だったようだが、そこにもうひとつ「暴」も加えたかったのだろうか。
府立医大と協力関係にある民間病院も事件に介在しているとみられ、京都府警は徹底捜査の構えだ。
とはいえ、そもそも学長と組長を取り持ったのは、暴力団を担当していた府警のOBだったという。
医大と暴力団と刑事と――。
こちらの花園には「悪の」を冠するほかあるまい。
そしてただ、ため息が出る。
[191/200文字]
京都府立医大病院が暴力団組長の虚偽診断書を作り、刑務所への収監を逃れさせていた疑惑で「学長・組長」のただならぬ関係が浮かび上がった。
学長は産学官の連携に熱心だったようだが、そこにもうひとつ「暴」も加えたかったのだろうか。医療への信頼は地に落ちよう。
京都府警は徹底捜査の構えだ。
とはいえ、そもそも学長と組長を取り持ったのは、暴力団を担当していた府警のOBだったという。
医大と暴力団と刑事との「悪の」花園にため息が出る。