[春秋要約170225]村上春樹さんの「騎士団長殺し」のような本は喪失感や孤独感を持つ人々をつなげる。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/2/25付

何年に1回かの「ハルキ祭り」とでもいうべきか。村上春樹さんの新作長編「騎士団長殺し」がきのう発売になり、例によって午前0時には一部の書店で売り場に行列ができた。2巻合計ですでに130万部の印刷が決まっている本が売れない時代には珍しい存在だ。
▼中身について予告が一切ないことを逆手にとり、熱心なファンは「内容予想」の会を開いて盛り上がった。発売後にはまた集まり、感想や解釈をつきあわせるに違いない。好きな人が多い分、嫌う人もいる反・春樹派もまたそれはそれで熱い春樹論をカフェやネットで戦わせている。1人の作家が人と人をつなげていく
▼作品の多くは主人公が喪失感を抱え生きている自作が世界で受け入れられた理由を、8年前のインタビューで、人々が今の世界に現実感を感じられなくなったからではないかと語っている。冷戦終結、テロ、原理主義の台頭などで足元が定まらない、おかしな世界になった。そんな不安から主人公に共鳴しているとみる。
▼新作の主人公は36歳の男。妻に離婚を切り出されるところから物語が始まる。小説の中であれ現実の世界であれ、喪失感や孤独感を救うのは具体的な人とのかかわりやつながりだろう。誰かとつながりたいと願う人々が一斉に同じ本を買い読み、共通の体験をもとに称賛や反感を語り合う。これもベストセラーの効用か。

要約

[298/300文字]

村上春樹さんの「騎士団長殺し」がきのう発売になり、一部の書店で売り場に行列ができた。
2巻合計ですでに130万部の印刷が決まっている。
本が売れない時代には珍しい存在だ。

熱心なファンは「内容予想」の会を開いて盛り上がった。
反・春樹派も熱い春樹論を戦わせている。
1人の作家が人と人をつなげていく。

作品の多くは主人公が喪失感を抱え生きている。
自作が世界で受け入れられた理由を、人々が今の世界に現実感を感じられなくなったからではないかと語っている。

小説の中であれ現実の世界であれ、喪失感や孤独感を救うのは具体的な人とのかかわりやつながりだろう。
誰かとつながりたいと願う人々が同じ本を買い、読み、共通の体験をもとに語り合う。
これもベストセラーの効用か。

[187/200文字]
村上春樹さんの「騎士団長殺し」がきのう発売。
2巻合計で130万部の印刷が決まっている。

熱心なファンも反・春樹派も熱い春樹論を戦わせている。

春樹さんの作品の主人公の多くが喪失感を抱え生きている。

小説の中であれ現実の世界であれ、喪失感や孤独感を救うのは具体的な人とのかかわりやつながりだろう。
誰かとつながりたいと願う人々が同じ本を買い、読み、共通の体験をもとに語り合う。
ベストセラーが人と人をつなげていく。