2017/3/15付
今年が没後10年の作家、小田実さんの名言に「人間みなチョボチョボや」というのがある。人は生まれながらに自由で対等で、平等な存在だ――。標準語で説けばこんなふうに小難しくなろう。そこを大阪弁でかみ砕いてみると、胸にすとんと落ちるから方言は面白い。
▼そういう効果を狙って経済産業省の面々も筆を走らせたようだ。大阪への誘致をめざす2025年万博について、報告書案の「関西弁バージョン」をおととい公表した。テーマ案の「いのち輝く」の部分を「いのちがキンキラキンに輝く」としたり、「レガシー、セクシーとちゃうで」とふざけたり、全編がそんな調子だ。
▼ため息が出るのは万博の役割を「人類共通のゴチャゴチャを解決する方法」と主張したくだりである。いくつか「ゴチャゴチャの例」を挙げるなかで、そのひとつは「社会重圧、ストレス(例えばやな、精神疾患)」と記した。さすがにあちこちで批判が噴出したらしく、世耕弘成経産相は一夜で撤回表明に追い込まれた。
▼個々の表現がどうこうではなく、この文書は言葉への注意が本質的に欠けているというほかない。ネット空間にあふれる寒々しい書き込みとチョボチョボではないか。経産省は先月末から、情報管理徹底のためとしてすべての執務室に昼間でも施錠するようになった。そのドアの向こうで、こんなものをつくっていたとは。
要約
[292/300文字]
標準語で説けば小難しくなるが方言でかみ砕いてみると、胸にすとんと落ちるから面白い。
そういう効果を狙って経済産業省の面々も筆を走らせたようだ。
大阪への誘致をめざす2025年万博について、報告書案の「関西弁バージョン」をおととい公表した。
テーマ案の「いのち輝く」の部分を「いのちがキンキラキンに輝く」としたり、「レガシー、セクシーとちゃうで」とふざけたり、全編がそんな調子だ。
ため息が出るのは万博の役割を「人類共通のゴチャゴチャを解決する方法」と主張したくだりである。
さすがにあちこちで批判が噴出したらしく、世耕弘成経産相は一夜で撤回表明に追い込まれた。
個々の表現がどうこうではなく、この文書は言葉への注意が本質的に欠けているというほかない。
[190/200文字]
標準語で説けば小難しくなるが方言でかみ砕いてみると、胸にすとんと落ちるから面白い。
そういう効果を狙って経済産業省の面々も筆を走らせたようだ。
大阪への誘致をめざす2025年万博について、報告書案の「関西弁バージョン」をおととい公表した。
さすがにあちこちで批判が噴出したらしく、世耕弘成経産相は一夜で撤回表明に追い込まれた。
個々の表現がどうこうではなく、この文書は言葉への注意が本質的に欠けているというほかない。