2016/11/25付
「僕はコスモポリタン(世界市民)にだけは絶対なりたくない」。外国語が話せても原書は読めない。日本の伝統文化を知らない。古典も読まない。それで国際的といえるのか。外国ではそんな日本人はバカにされる。三島由紀夫は有吉佐和子との本紙の対談で嘆いた。
▼ほぼ2年後の1970年11月25日。三島は陸上自衛隊市ケ谷駐屯地で、クーデターを呼びかけた。「ここで立ち上がらなければ、諸君は永久にアメリカの軍隊になるんだぞ」。訴えがどこまで本気だったか。決起を憲法改正に結びつけるという破天荒な筋書きだった。演説はむなしく響いただけで、衝撃的な最期を遂げる。
▼当時は、冷戦が激しくなり、ベトナム反戦や日米安保条約への反対などで学生の反乱が起きていた。デモや争乱も相次いだ。一方で、高度成長がもたらした豊かな社会があった。三島は日本人が伝統文化を捨てて、西洋化し、堕落していると考えた。その根本原因に憲法解釈のゆがみがあるとみて、改憲草案も作っていた。
▼冷戦が終わり世界は変わった。列島には北朝鮮のミサイルや中国の軍事力増強が迫る。トランプ政権誕生で、米国は日米同盟の見直しを求めそうだ。同盟が揺らげば隙ができる。三島が願った改憲議論もようやく始まったが、改憲と護憲の論争は相変わらずだ。環境変化にどう対応するのか。いまの日本人が問われている。
要約
[300/300文字]
日本人が伝統文化を捨てて、西洋化し、堕落していると考えた三島由紀夫はクーデターを呼びかけた。
決起を憲法改正に結びつけるという破天荒な筋書きだった。
根本原因に憲法解釈のゆがみがあるとみて、改憲草案も作っていた。
演説はむなしく響いただけで、衝撃的な最期を遂げる。
当時は、冷戦が激しくなり、デモや争乱も相次いだ。
一方で、高度成長がもたらした豊かな社会があった。
冷戦が終わり世界は変わった。
列島には北朝鮮のミサイルや中国の軍事力増強が迫る。
トランプ政権誕生で、米国は日米同盟の見直しを求めそうだ。
同盟が揺らげば隙ができる。
三島が願った改憲議論もようやく始まったが、改憲と護憲の論争は相変わらずだ。
環境変化にどう対応するのか。
いまの日本人が問われている。
[198/200文字]
日本人が伝統文化を捨てて、西洋化し、堕落していると考えた三島由紀夫はクーデターを呼びかけた。
根本原因に憲法解釈のゆがみがあるとみて、改憲草案も作っていた。
演説はむなしく響いただけで、衝撃的な最期を遂げる。
冷戦が終わり世界は変わった。
北朝鮮や中国の軍事力増強やトランプ政権の日米同盟見直し。
同盟が揺らげば隙ができる。
改憲議論も始まったが、改憲と護憲の論争は相変わらずだ。
環境変化にどう対応するのか。
いまの日本人が問われている。