[春秋要約170327]「森友学園」の用地、豊洲市場、東日本大震災の被災地ような土地に春は訪れるのか。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/3/27付

春の足は速い。もう3月がつきる。年度替わりである。職場の異動や引っ越しで、あわただしい。雑事にかまけている間にたちまち過ぎる。開花のしらせや寒の戻りは気にしても、風景の変化は見えにくい。それでも、敏感な目は、季節の俊足をしっかりとつかまえる
▼チェコの作家、チャペックは「自然の行進」と名づけた。3月末、ネコの額ほどの庭にしゃがむ。すると枝先に小さな金の星が光る。若々しい緑が顔を出す。ついに芽の行進が始まったのだ。左、右、と前へ進む。どよめきも聞こえるようだ。しずかな庭が「凱旋行進曲」をかなで出した(小松太郎訳「園芸家12カ月」)。
曲が聞こえない場所もある。土地がだまっている。「森友学園」の用地には、ゴミがあふれていた。東京・豊洲市場はいまだに汚染問題がくすぶる。東日本大震災の被災地には近づけない区域がある。汚れたままの地面もある芽ぶきの響きは、耳にとどかない悲しげな緑の声がかすかに鳴っているのかもしれない。
先を考えない今がよければと、大地の営みに思いをいたさなかったからではないか。そんな土地ばかりが増えては春のいぶきも感じられなくなる。将来を考え、庭を整え、草木を育てる。園芸家精神にちょっと学んではどうかチャペックは木を植えると、100年後、ここが巨大な森になると心の中で思ったそうだ。

要約

[294/300文字]
春の足は速い。
開花のしらせや寒の戻りは気にしても、風景の変化は見えにくい。
それでも、敏感な目は、季節の俊足をしっかりとつかまえる。

チェコの作家、チャペックは「自然の行進」と名づけた。
3月末、ネコの額ほどの庭に若々しい緑が顔を出す。
しずかな庭が「凱旋行進曲」をかなで出した。

曲が聞こえない場所もある。
土地がだまっている。
「森友学園」の用地には、ゴミがあふれていた。
東京・豊洲市場はいまだに汚染問題がくすぶる。
東日本大震災の被災地には、近づけない区域がある。

先を考えない。
今がよければと、大地の営みに思いをいたさなかったからではないか。
そんな土地ばかりが増えては、春のいぶきも感じられなくなる。
将来を考え、庭を整え、草木を育てる。
園芸家精神に学んではどうか。

[195/200文字]
春の足は速いが敏感な目は、それをしっかりとつかまえる。

チャペックは「自然の行進」と名づけた。
3月末、庭の若々しい緑が「凱旋行進曲」をかなで出す。

曲が聞こえない場所もある。
「森友学園」の用地には、ゴミがあふれていた。
豊洲市場はいまだに汚染問題がくすぶる。
東日本大震災の被災地には、近づけない区域がある。

先を考えず今がよければと、大地の営みに思いをいたさなかったからではないか。
そんな土地ばかりが増えては、春のいぶきも感じられなくなる。