[春秋要約170422]人々が負った傷を回路に社会融和を祈られてきた象徴天皇に望ましい公務を熟思したい。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/4/22付

高松港から東へ8キロ。瀬戸内海の美しい小島に国立療養所「大島青松園」がある。半世紀近い施設での日々を短歌でつづる元ハンセン病患者の男性をかつて訪ねた。望郷、同じ病の女性との結婚と死別、左足の切断。過酷な宿命と向き合う歌は5000首を超えていた
▼〈長病みの果ての幸かもわが前に天皇陛下今し立ち給う〉。天皇、皇后両陛下は2004年に高松市を訪問し入所者の詩歌などの作品展をご覧になった。日程上、施設慰問はかなわなかったが、視察先の小豆島から高松港への帰路、両陛下は青松園の人々と心を通わせようと船上から手を振られた。その光景を詠んだ歌だ。
男性は7年前に死去した。病の後遺症で不自由になった指に輪ゴムでペンを固定し、この歌を便箋に清書してくれた姿が忘れられない天皇陛下の退位に関する有識者会議が昨日、最終報告を公表したどのような公務が象徴天皇に望ましいかという論点は専門家へのヒアリングでも意見が割れ見解は集約されていない
▼議論の出発点は陛下が象徴にふさわしいとお考えの務めが高齢ゆえに果たせなくなるので対処の仕方を考えたい、とのお気持ちの表明だった。両陛下は、夢や希望よりむしろ人々が負った傷を回路に社会の融和を祈られてきたように見える。津々浦々を巡られた両陛下の長い旅路を胸に刻み、象徴のあり方を熟思したい

要約

[295/300文字]
天皇、皇后両陛下は2004年に高松市を訪問し、国立療養所「大島青松園」の入所者の詩歌などの作品展をご覧になった。
施設慰問はかなわなかったが、青松園の人々と心を通わせようと帰路の船上から手を振られた。

天皇陛下の退位に関する有識者会議が昨日、最終報告を公表した。
どのような公務が象徴天皇に望ましいかという論点は意見が割れ、見解は集約されていない。

議論の出発点は、陛下が象徴にふさわしいとお考えの務めが高齢ゆえに果たせなくなるので対処の仕方を考えたい、とのお気持ちの表明だった。
両陛下は、夢や希望よりむしろ人々が負った傷を回路に社会の融和を祈られてきたように見える。津々浦々を巡られた両陛下の長い旅路を胸に刻み、象徴のあり方を熟思したい。

[189/200文字]
天皇陛下の退位に関する有識者会議が昨日、最終報告を公表した。
象徴天皇に望ましい公務については意見が割れ、見解は集約されていない。

議論の出発点は、陛下が象徴にふさわしいとお考えの務めが高齢ゆえに果たせなくなるので対処の仕方を考えたい、とのお気持ちの表明だった。
両陛下は、夢や希望よりむしろ人々が負った傷を回路に社会の融和を祈られてきたように見える。津々浦々を巡られた両陛下の長い旅路を胸に刻み、象徴のあり方を熟思したい。