[春秋要約170803]AI時代、人間に残るのが情念あらわな振る舞いだけとならぬよう自らを捉え直そう。<38文字> #sjdis #sjyouyaku

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

2017/8/3付

大学の医学部を舞台にした山崎豊子の小説「白い巨塔」の一場面だ。X線写真からごく初期のがんを見つけた技量を、外科医の財前が自ら誇る。「微妙な陰影の読影は、いうなれば科学ではなく、一種の芸術なんだよ」。続けて「優れた勘と鋭い洞察力が必要だがね」。
▼多くの医師が場数を踏んで鍛え上げ受け継いできた読影のノウハウも、人工知能(AI)による「画像診断」に取って代わられそうな昨今である。日本消化器内視鏡学会の動きを本紙が先月報じていた。全国の病院から32万件もの画像を集め、家族の病歴なども加えてデータベースを作成し、AIに学ばせるというのだ。
異常が疑われる患者を見分ける機能は3年後には実現できそうという。医師の負担は減り、どの病院でも高水準の診断が可能になるなど、良いことずくめに見える。自動運転も高速道路での実用化は間近だし、先日はニュースや天気予報を読むAIをラジオ局が導入する、と伝えられた。記事や小説だって書き始めている
▼一定の技能が必要な行いを次々とAIがこなす。そんな未来はすぐそこのようだ。だとすれば人間に残された仕事は何か。「白い巨塔」では医師らの野心、嫉妬、うぬぼれに満ちた言動が執拗に描かれる。情念もあらわな「人間くさい」振る舞いが主役になるなら寂しい。AI時代、自らを捉え直すことが求められている。

要約

[292/300文字]
X線写真からごく初期のがんを見つける読影のノウハウも、AIによる「画像診断」に取って代わられそうな昨今である。
日本消化器内視鏡学会の動きを本紙が先月報じていた。

異常が疑われる患者を見分ける機能は3年後には実現できそうという。
医師の負担は減り、どの病院でも高水準の診断が可能になるなど、良いことずくめに見える。
自動運転も高速道路での実用化は間近だし、先日はニュースや天気予報を読むAIをラジオ局が導入する、と伝えられた。
記事や小説だって書き始めている。

一定の技能が必要な行いを次々とAIがこなすならば人間に残された仕事は何か。
情念もあらわな「人間くさい」振る舞いが主役になるなら寂しい。
AI時代、自らを捉え直すことが求められている。

[194/200文字]
異常が疑われる患者をAIによる「画像診断」で見分ける機能は3年後には実現できそうという。
医師の負担は減り、どの病院でも高水準の診断が可能になるなど、良いことずくめに見える。
自動運転の実用化も間近だし、ニュースや天気予報を読むAIをラジオ局が導入した。
記事や小説だって書き始めている。

AIが次々と仕事をこなし、人間に残されるのが情念もあらわな「人間くさい」振る舞いになるなら寂しい。
AI時代、自らを捉え直すことが求められている。