2017/2/4付
医師で芥川賞作家の南木佳士さんが「稲刈り」という随筆で、子供のころ家の米作りを手伝い、たしなめられた思い出を振り返っている。好きな落ち穂拾いに精を出し、ほめられた。それがうれしく、鎌を持てるようになると祖母より速く刈ってみせようとしたという。
▼祖母は南木さんにこう語った。「百姓仕事は続けるのが大事なもんだから、そんなに急いじゃあいけねえ。からだに無理をかけちゃあいけねえ」。親戚が助け合い収穫する。その後の宴(うたげ)は楽しく、大人になってもこの季節には体がうずいたそうだ。無理なく、長く続けられるのが仕事――。体験から出た言葉は心にしみる。
▼節分のきのう、「恵方巻き」と呼ばれるすしを食べた方も多かろう。近年コンビニエンスストアが広めた風習だ。この恵方巻き販売でアルバイトの高校生にもノルマが課され、学校で友人に売ったり自腹でいくつも購入したりする例があり社会問題になっている。クリスマスケーキなどもこうした無理な手法があるという。
▼厚生労働省によれば、コンビニでバイトをした学生の11.6%が商品の買い取りを強要された経験を持つ。本部は関知していないというが本当か。若者らの心に販売という仕事はどんな思い出として残っただろう。零細小売店の経営近代化がコンビニの旗印だったはず。コネと根性頼みの売り方は続かないし、似合わない。
要約
[297/300文字]
南木佳士さんは、子供のころ祖母に「百姓仕事は続けるのが大事なもんだから、そんなに急いじゃあいけねえ。からだに無理をかけちゃあいけねえ。」と言われた。
無理なく、長く続けられるのが仕事ー―。
体験から出た言葉は心にしみる。
近年コンビニエンスストアが広めた「恵方巻き」。
この販売でアルバイトの高校生にもノルマが課され、学校で友人に売ったり自腹でいくつも購入したりする例があり社会問題になっている。
クリスマスケーキなどもこうした無理な手法があるという。
本部は関知していないというが本当か。
若者らの心に販売という仕事はどんな思い出として残っただろう。
零細小売店の経営近代化がコンビニの旗印だったはず。
コネと根性頼みの売り方は続かないし、似合わない。
[200/200文字]
「百姓仕事は続けるのが大事なもんだから、そんなに急いじゃあいけねえ。からだに無理をかけちゃあいけねえ。」無理なく、長く続けられるのが仕事だ。
近年コンビニエンスストアが広めた「恵方巻き」の販売でアルバイトにもノルマが課され社会問題になっている。
クリスマスケーキなどもこうした無理な手法があるという。
本部は関知していないというが本当か。
零細小売店の経営近代化がコンビニの旗印だったはず。
コネと根性頼みの売り方は続かないし、似合わない。