2017/2/7付
福沢諭吉は1860年、江戸幕府の軍艦、咸臨丸で初めて米国へ渡った。自伝に初代の大統領だったワシントンの子孫について、ある人に尋ねた際の逸話が載っている。「今どうしているか知らない」などとする冷淡な答えに福沢は「これは不思議だ」と一驚している。
▼彼には、幕府の創設者とその一族のように、建国の父の子孫も人々から畏敬されているはずとの思いがあったらしい。祖先や家門と無関係に、国民の投票でリーダーを選ぶ米国の仕組みに感嘆したようだ。ワシントンには子どもの時分、おので桜を切り、それを正直に父親に話して、逆にほめられたとの伝説も残っている。
▼民主主義のあり方や、人の道について教訓を残してくれる偉人がいる一方で、45代のトランプ米大統領には反面教師にしたくなる言動がやまない。イスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令への司法によるストップに、裁判所や判事を非難する内容のツイッターを投稿している。三権の分立を忘れたかのようだ。
▼福沢は「学問のすゝめ」で、国の文明を興すのは「ミッヅルカラッス」(ミドルクラス)と述べる。トランプ氏も現状に不満を持つ中間層の支持で当選した。国力の回復や豊かな暮らしの実現へ期待は大きい。メディア、企業などへの威圧めいた態度で、なし遂げられるのか。居丈高でとっぴな手法に、世界が疲れてきた。
要約
[295/300文字]
福沢諭吉は国民の投票でリーダーを選ぶ米国の仕組みに感嘆していたようだ。
民主主義のあり方や、人の道について教訓を残してくれる偉人がいる一方で、45代のトランプ米大統領には反面教師にしたくなる言動がやまない。
イスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令への司法によるストップに、裁判所や判事を非難する内容のツイッターを投稿している。
三権の分立を忘れたかのようだ。
福沢は「学問のすゝめ」で、国の文明を興すのはミドルクラスと述べる。
トランプ氏も現状に不満を持つ中間層の支持で当選した。
国力の回復や豊かな暮らしの実現へ期待は大きい。
メディア、企業などへの威圧めいた態度で、なし遂げられるのか。
居丈高でとっぴな手法に、世界が疲れてきた。
[183/200文字]
トランプ米大統領は反面教師にしたくなる。
大統領令の司法によるストップに、裁判所や判事を非難する。
三権の分立を忘れたかのようだ。
福沢諭吉は「学問のすゝめ」で、国の文明を興すのはミドルクラスと述べる。
トランプ氏も現状に不満を持つ中間層の支持で当選した。
国力の回復や豊かな暮らしの実現へ期待は大きい。
メディア、企業などへの威圧めいた態度で、なし遂げられるのか。
居丈高でとっぴな手法に、世界が疲れてきた。