2016/11/15付
世界的な仏教学者、鈴木大拙は今年が没後50年だ。禅の世界を解説した著書によると、道場に入門を願う新来の僧は先輩から強い調子で断られ、時に力ずくで門外に出される。しかし、これであきらめては道は極められない。修行への覚悟を試す初歩の試練なのである。
▼東京国立博物館での「禅―心をかたちに」展の水墨画に、その究極の姿を見る。「慧可(えか)断臂図(だんぴず)」だ。達磨(だるま)に弟子入りを断られた慧可が左腕を切り落とし決意を示している。最近の韓国を見るにつけ思う。「事件」の発端である宗教家と朴槿恵(パク・クネ)氏の出会いに、図のような真摯な求道の火花は散らなかったのか。
▼1970年代に母と父を相次ぎ銃撃で失った朴氏に、崔太敏(チェ・テミン)氏は独自の教えで影響力を強めていった。94年、太敏氏の死去後は娘の順実(スンシル)容疑者が関係を深めた。朴氏が大統領に就任してからは機密文書を受け取ったり、設立した財団へ企業から寄付を募ったりし、それを横領した疑惑がある。
▼日本の某首相は弁じた。トップにはどす黒いまでの孤独が付きまとう、と。耐えてこそ、民意に応える一歩だろう。「利用されているのでは」と回心する機会は朴氏になかったか。退陣を迫る首都のデモは26万人。検察の事情聴取も迫る。北朝鮮への対応や慰安婦問題と、政治空白は日本への影響も大きい。目が離せない。
要約
[287/300文字]
最近の韓国を見るにつけ思う。
「事件」の発端である宗教家と朴槿恵氏の出会いに、真摯な求道の火花は散らなかったのか。
1970年代に母と父を相次ぎ銃撃で失った朴氏に、崔太敏氏は独自の教えで影響力を強めていった。
94年、太敏氏の死去後は娘の順実容疑者が関係を深めた。
朴氏が大統領に就任してからは機密文書を受け取ったり、設立した財団へ企業から寄付を募ったりし、それを横領した疑惑がある。
トップはどす黒いまでの孤独に耐えてこそ、民意に応える一歩だろう。
「利用されているのでは」と回心する機会は朴氏になかったか。
退陣を迫る首都のデモは26万人。
検察の事情聴取も迫る。
北朝鮮への対応や慰安婦問題と、政治空白は日本への影響も大きい。
目が離せない。
[198/200文字]
1970年代に母と父を失った朴槿恵氏に、崔太敏氏は影響力を強める。
94年、太敏氏の死去後は娘の順実容疑者が関係を深めた。
朴氏の韓国大統領就任後、機密文書の受領、設立した財団への寄付の横領疑惑がある。
トップはどす黒いまでの孤独に耐えてこそ、民意に応える一歩だ。
「利用されているのでは」と回心する機会は朴氏になかったか。
退陣を迫るデモは26万人。
検察の事情聴取も迫る。
北朝鮮への対応や慰安婦問題と、政治空白は日本への影響も大きい。
目が離せない。