2017/3/5付
最大の顧客である老舗百貨店、三越と決別し、同社の配送業務から撤退する――。38年前、ヤマト運輸の社長だった小倉昌男さんは決断した。胸中を後に著書「小倉昌男 経営学」に記している。問題は百貨店そのものではなく君臨するワンマン社長のやり方にあった。
▼高価な絵画や別荘地、映画の前売り券を買わされた。こうした点は浮世の義理と諦めたが、百貨店の業績悪化の穴埋めに配送料金を下げられ、物流センターでは駐車料金を徴収された。業績回復後もこれらの措置は変わらず、ヤマトの三越担当部門は赤字に転落。契約解除で社内の空気はすっきり明るくなったと振り返る。
▼大口荷主を切ることができた背景に、この3年前に始めた新規事業である宅急便への自信があった。街の人々から小さな荷物をこつこつと集め、迅速に間違いなく配る。正確できめ細かなサービスは信頼を集め、生活や仕事に不可欠の存在となった。その宅急便の現場が疲弊し、総量を抑制しようかとの事態に陥っている。
▼個人からの集荷は効率こそ悪いが「主婦は運賃を値切らず、現金で払ってくれる」。そろばんもしっかりはじき、倉庫の自動化などに投資も怠らなかった。今の混乱は4年前、大手ネット通販会社との取引を広げたことから始まっている。小倉さんの遺産を健全に発展させていけるか。現経営陣の度胸と自信の程はいかに。
要約
[289/300文字]
38年前、ヤマト運輸の社長だった小倉昌男さんはワンマン社長のやり方に反発し最大顧客の三越との決別を決断した。
百貨店の業績悪化の穴埋めや、物流センターでの駐車料金の徴収。
契約解除で社内の空気はすっきり明るくなったと振り返る。
大口荷主を切ることができた背景に、宅急便への自信があった。
街の人々から荷物を集め、迅速に間違いなく配る。
正確できめ細かなサービスは信頼を集め、生活や仕事に不可欠の存在となった。
その宅急便の現場が疲弊し、総量を抑制しようかとの事態に陥っている。
今の混乱は4年前、大手ネット通販会社との取引を広げたことから始まっている。
小倉さんの遺産を健全に発展させていけるか。
現経営陣の度胸と自信の程はいかに。
[195/200文字]
38年前、ヤマト運輸の社長だった小倉昌男さんはワンマン社長のやり方に反発し最大顧客の三越との決別を決断した。
契約解除で社内の空気はすっきり明るくなったと振り返る。
街の人々からの荷物を迅速に間違いなく配る宅急便への自信から、大口荷主を切ることができた。
しかし4年前、大手ネット通販会社との取引から、現場が疲弊し、総量抑制の事態に陥っている
小倉さんの遺産を健全に発展させていけるか。
現経営陣の度胸と自信の程はいかに。