2016/10/25付
ひとつの映像が大きな波を起こすことがある。昨年、内戦のつづくシリアから欧州へ逃れようとして地中海で溺死し、トルコの海岸に流れついた男の子の写真は、難民危機のおぞましさを世界に見せつけた。欧州の国々はいまも、難民の受け入れをめぐって揺れている。
▼ことし、シリア北部の都市アレッポで撮影されたという映像も、衝撃をもたらした。空爆をうけた現場からすくい出され救急車に運び込まれた5歳の男の子が、血とほこりにまみれて、ぼうぜんとすわりこんでいる姿。「救急車の少年」と呼ばれ、この街を舞台にした戦闘の残酷さに対して、世界の強い関心をかきたてた。
▼国際社会の批判のたかまりもあって、アサド政権軍とロシア軍は今月20日朝からアレッポに対する攻撃を停止していた。けれど、22日夜になると再び攻撃をはじめた。「人道目的」をかかげた停戦は結局、あしかけ3日で終わった。アレッポを拠点としている反体制派に投降を呼びかけたのに、応じなかったから、という。
▼アレッポだけが悲惨なわけではない。内戦がはじまって5年あまり。シリアの各地で恐ろしい戦闘が繰り広げられてきた。いたたまれない気持ちにさせられる映像をたくさん目にしてきた。だからこそ、悔しいような思いが募る。せっかくアレッポで実現した一時停戦を、長くつづけることはできなかったのだろうか、と。
要約
[298/300文字]
ひとつの映像が大きな波を起こすことがある。
昨年、地中海で溺死したシリア難民の男の子の写真は、難民危機のおぞましさを見せつけた。
欧州の国々はいまも、難民の受け入れをめぐって揺れている。
ことし、シリア北部のアレッポで撮影された「救急車の少年」の映像も、戦闘の残酷さに対し強い関心をかきたてた。
アサド政権軍とロシア軍は「人道目的」をかかげ20日朝から攻撃を停止していたが、停戦は3日で終わった。
内戦がはじまって5年あまり。
シリアの各地で恐ろしい戦闘が繰り広げられてきた。
いたたまれない気持ちにさせられる映像をたくさん目にしてきた。
だからこそ、悔しいような思いが募る。
せっかくアレッポで実現した一時停戦を、長くつづけることはできなかったのだろうか、と。
[199/200文字]
内戦がはじまって5年あまり。
シリアの各地で恐ろしい戦闘が繰り広げられてきた。
欧州の国々はいまも、難民の受け入れをめぐって揺れている。
アサド政権軍とロシア軍は「人道目的」をかかげ20日朝からアレッポに対する攻撃を停止していたが、停戦は3日で終わった。
いたたまれない気持ちにさせられる映像をたくさん目にしてきた。
だからこそ、悔しいような思いが募る。
せっかくアレッポで実現した一時停戦を、長くつづけることはできなかったのだろうか、と。