2017/1/9付
夏の朝、1機の偵察機が消息を絶った。撃墜されたようだ。第2次大戦末期、イタリアの島からフランスに向けて、地中海を飛行中だった。操縦士は仏作家サン・テグジュペリ。ナチスドイツに脅かされている祖国のために、志願して高射砲弾をくぐり飛び続けていた。
▼その2年前、米国滞在中に「星の王子さま」を書いた。飛行士が不時着した砂漠で、小さな王子に出会う童話だ。ゾウをぺろりとのみ込むウワバミの恐ろしさが語られる。バオバブの木は、芽のうちにつまないと、いつのまにか巨大になって、小さな星を破壊してしまう。子供が気づく危うさに大人はちっとも気づかない。
▼大蛇も大木もナチスやファシズムを表すとの見方がある。「大人ってほんとにへんだ」。童話の登場人物は、政治家も実業家も危機が見えない。どっちつかずで、打算的だ。そうした大人が戦争の厄災を招いた。作家自身も責任を感じ、反省と罪滅ぼしの気持ちをこめているという(塚崎幹夫著「星の王子さまの世界」)。
▼「18歳以上選挙権」の導入で、成人年齢を下げる動きもでてきた。社会は若者に早く大人になってほしいのである。米欧など世界には激動の気配が漂う。混乱は日本にも及びかねない。作家は何が大切か分かる大人になってほしいと子供たちに希望を託した。困難が近づいても、そんな人々が増えてくれば未来は暗くない。
要約
[295/300文字]
サン・テグジュペリは消息を絶つ2年前「星の王子さま」を書いた。
飛行士が不時着した砂漠で、小さな王子に出会う童話だ。
ゾウをのみ込むウワバミの恐ろしさや、バオバブの木が巨大になって小さな星を破壊してしまう危うさ。
子供が気づくのに大人はちっとも気づかない。
大蛇も大木もナチスやファシズムを表すとの見方がある。
登場人物の政治家も実業家も危機が見えない。
どっちつかずで、打算的だ。
そうした大人が戦争の厄災を招いた。
「18歳以上選挙権」の導入で、成人年齢を下げる動きもでてきた。
社会は若者に早く大人になってほしいのである。
作家は何が大切か分かる大人になってほしいと子供たちに希望を託した。
困難が近づいても、そんな人々が増えてくれば未来は暗くない。
[197/200文字]
「星の王子さま」には、ゾウをのみ込むウワバミ、巨大になって小さな星を破壊してしまうバオバブの木が登場する。
子供がその恐ろしさや危うさに気づくのに政治家も実業家も危機が見えない。
どっちつかずで、打算的だ。
そうした大人が戦争の厄災を招いた。
社会は「18歳以上選挙権」で、若者に早く大人になってほしいのである。
作家は何が大切か分かる大人になってほしいと子供たちに希望を託した。
困難が近づいても、そんな人々が増えてくれば未来は暗くない。