[春秋要約170224]日本映画界の異端児ながら欧米にもファンを持つ天才職人、鈴木清順さんが93歳で逝去。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/2/24付

極彩色の映像をちりばめた「ピストルオペラ」のなかで、鈴木清順監督は女の殺し屋に印象的なセリフを言わせている。「左から右へと、現れては消えていく」――。この世の営みをすべて生々流転と見定め、虚無感と喪失感を漂わせる清順ワールドを象徴する言葉だ
背景にあったのは戦争体験である。学徒出陣でフィリピンへ向かうが輸送船が撃沈され、まさに九死に一生を得て戦後を生きた。「あたしは日本橋の江戸っ子ですからね。生まれたのは関東大震災の年。刹那的な気分が染みついてますよ」。傘寿を迎えたころのインタビューでそう語り、人懐っこく笑った顔が忘れがたい
▼日本映画界の異端児ながら欧米にもたくさんのファンを持つ清順さんが、93歳で逝った。ふすまを開けるとぱっと色が変わる、空に浮かぶ月が緑色……。独特の美意識から生まれた作品は魔物のような魅力をまとい、ときに論争の的になった仕掛けが満載の「殺しの烙印」に日活社長は怒り、とうとう映画界を追われる
▼そんな時代にも淡々と次の機会を待ち、やがて華々しい復活を遂げた。戦争で命を失いかけた人の、世におもねらぬ生き方がそこにあったのだ。米アカデミー賞の有力候補「ラ・ラ・ランド」のチャゼル監督は、清順美学の極致「東京流れ者」にいたく刺激されたという。世界中の映画人の胸に迫る、天才職人の死である。

要約

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「ピストルオペラ」のなか「左から右へと、現れては消えていく」というセリフは、この世の営みをすべて生々流転と見定め、虚無感と喪失感を漂わせる清順ワールドを象徴する言葉だ。

背景にあったのは九死に一生を得た戦争体験である。
「刹那的な気分が染みついてますよ」と、人懐っこく笑った顔が忘れがたい。

日本映画界の異端児ながら欧米にもたくさんのファンを持つ清順さんが、93歳で逝った。
独特の美意識から生まれた作品は魔物のような魅力をまとい、ときに論争の的になった。
映画界を追われた時代にも次の機会を待ち、やがて華々しい復活を遂げた。
戦争で命を失いかけた人の、世におもねらぬ生き方がそこにあったのだ。
世界中の映画人の胸に迫る、天才職人の死である。

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日本映画界の異端児ながら欧米にもファンを持つ鈴木清順さんが、93歳で逝った。

「ピストルオペラ」のなか「左から右へと、現れては消えていく」というセリフは、この世の営みをすべて生々流転と見定め、虚無感と喪失感を漂わせる清順ワールドを象徴する言葉だ。

独特の美意識から生まれた作品は魔物のような魅力をまとい、ときに論争の的になった。
映画界を追われた時代にも次の機会を待ち、華々しい復活を遂げた。
世界中の映画人の胸に迫る、天才職人の死である。