2017/3/21付
「記憶にございません」。国会での証人喚問をめぐる名ゼリフといえば、何といってもこれが記憶に残る。戦後最大の疑獄、ロッキード事件を追及する場面でのことだ。国際興業社主だった小佐野賢治氏はこの言葉を繰り返して議員らの質問をかわし、流行語になった。
▼同じく政界を揺るがした東京佐川急便事件では、元自民党副総裁の金丸信氏が病室での尋問で「そんなこと覚えているようじゃ代議士なんかやってない」とけむに巻いた。上には上がある。さて国会喚問の地方版、東京都議会百条委員会の証人喚問である。こちらは名言も迷言も聞かれないまま、ヤマ場を過ぎてしまった。
▼都の元幹部、浜渦武生元副知事、石原慎太郎元知事と、大物の役者たちが日替わりで登場した。しかし見応えがあったのは、時折、強い言葉で質問者ににらみをきかす浜渦氏の迫力ぐらいだったか。汚染が懸念される豊洲に市場を移転する絵を誰が描き、主導したのかという素朴な疑問にはっきりとした答えは出なかった。
▼23日には大阪市の森友学園の問題で、国会でも5年ぶりの証人喚問が行われる。何やらここでは流行語が生まれそうな気配もするが、そもそも証人を呼んで聞けばたちまち謎が解けるといった都合のいい制度などあるはずがない。豊洲についてもこの先、議会はどう追及していくつもりなのか。そこでこそ力量が試される。
要約
[299/300文字]
戦後最大の疑獄ロッキード事件の証人喚問で、国際興業社主だった小佐野賢治氏は「記憶にございません」を繰り返して議員らの質問をかわし、流行語になった。
東京佐川急便事件では、元自民党副総裁の金丸信氏が「そんなこと覚えているようじゃ代議士なんかやってない」とけむに巻いた。
国会喚問の地方版、東京都議会百条委員会の証人喚問では、名言も迷言も聞かれないまま、ヤマ場を過ぎ、豊洲に市場を移転する絵を誰が描き、主導したのかという疑問に答えは出なかった。
23日には大阪市の森友学園の問題で、国会でも証人喚問が行われるが、証人を呼んで聞けばたちまち謎が解けるというわけではない。
豊洲についてもこの先、議会はどう追及していくつもりなのか。
そこでこそ力量が試される。
[197/200文字]
戦後最大の疑獄ロッキード事件や東京佐川急便事件での証人喚問では名ゼリフもあった。
国会喚問の地方版、東京都議会百条委員会の証人喚問では、名言も迷言も聞かれないまま、ヤマ場を過ぎ、豊洲に市場を移転する絵を描き、主導したのは誰かという疑問に答えは出なかった。
23日には森友学園の問題で、国会でも証人喚問が行われるが、それで謎が解けるというわけではない。
豊洲についてもこの先、議会はどう追及していくのか。
そこでこそ力量が試される。