[春秋要約170424]配慮に欠けた大臣の発言は、昔とは理解の異なる「がん」の使い方の問題提起になった。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/4/24付

学芸員は観光振興のがん――。ある大臣の発言が2つの面で波紋を呼んでいる。まずは学芸員の役割を巡る独自の見解だが、これは当の学芸員の方々も交え、大いに議論すればいい。気になるのは2つめの「がん」という例えだ。患者や家族から傷ついたとの声を聞く
▼岩波書店の広辞苑で「がん」を調べると「比喩的に、機構・組織などで、取り除きがたい難点」とある。学芸員は邪魔者という立場からすれば的確な使い方ということになる。しかし大臣、まして病か地域格差かの別はあれ、弱い立場の人々に寄り添うべき地方創生相の言葉としてはどうか。配慮に欠けるというしかない。
▼こうした比喩が広まった裏には、がんは突然変異的に生まれる異物で、遠からず死をもたらすが、うまく切除できれば縁を断てるという古いイメージがある今の理解は違うがん細胞は普通の人でも日々生まれている。医療の進歩で長く病と共存する人が増えた。一方で手術に成功しても再発の可能性が残ることも多い。
日本人の2人に1人ががんになる時代だ。しんどい話ではあるが、皆が正しい知識を持ち平静にこの病と向き合うしかない。闘病を特殊な美談に描いたり、忌むべきものの比喩に用い遠ざけたりでは、患者や家族と社会の間に壁をつくる「誰々はわが社のがん」との言い方は今後も許されるのか。いい問題提起になった。

要約

[297/300文字]
「学芸員は観光振興のがん」という、ある大臣の発言があった。

岩波書店の広辞苑で「がん」は「比喩的に、機構・組織などで、取り除きがたい難点」とある。
使い方は間違っていないが、弱い立場の人々に寄り添うべき地方創生相の言葉としては配慮に欠けるというしかない。

今の理解は昔と異なり、がん細胞は日々生まれ、長くがんと共存する人が増えている。
一方で手術に成功しても再発の可能性が残ることも多い。

日本人の2人に1人ががんになる時代。
皆が正しい知識を持ち平静にこの病と向き合うしかない。
闘病を特殊な美談に描いたり、忌むべきものの比喩に用い遠ざけたりでは、患者や家族と社会の間に壁をつくる。
「誰々はわが社のがん」との言い方は今後も許されるのか。
いい問題提起になった。

[192/200文字]
「学芸員は観光振興のがん」という、ある大臣の発言があった。

使い方は間違っていないが、地方創生相の言葉としては配慮に欠ける。

今の理解は昔と異なり、がん細胞は日々生まれ、長くがんと共存する人が増えている。
一方で手術に成功しても再発の可能性が残ることも多い。

日本人の2人に1人ががんになる時代。
皆が正しい知識を持ち平静にこの病と向き合うしかない。
「誰々はわが社のがん」との言い方は今後も許されるのか。
いい問題提起になった。