2016/9/26付
しばらくホテル暮らしだった――。刑務所に入っていた過去をこんな隠語で表すことがあると聞く。以前、経済事件で2年ほど宿泊した人物に住み心地を尋ねたところ、「二度とゴメンだが、なぜか麦飯カレーライスの味が忘れられず、時々作っている」と笑っていた。
▼そんな暗いたとえ話とは違う、本物の刑務所ホテルが誕生するかもしれない。明治政府が造った五大監獄の一つで、いま少年刑務所になっている旧奈良監獄が老朽化のため来年3月に閉鎖される。この建物を保存し、民間に活用してもらう計画が進んでいるのだ。ホテルのほか、博物館に転用する案なども出ているという。
▼歴史的建造物である刑務所を改装した「プリズンホテル」は海外では珍しくない。鉄格子の残る客室や、スタッフが看守の格好でもてなす工夫などで人気も高いらしい。奈良監獄の重厚なレンガ造りからは、「欧米列強なにするものぞ」との心意気が伝わってくる。ホテルならば入ってみたいと思う人は多いかもしれない。
▼往時の面影を残す奈良少年刑務所が誇るのは威容だけではない。少年や若い受刑者らを更生させるための充実した教育プログラムでも知られ、地元の人たちとの交流も盛んだという。文化的価値の高い建物だけでなく、過ちを犯した人の立ち直りを支える「地域との絆」も引き継がれ、各地に広がっていくことを願いたい。
要約
[285/300文字]
刑務所ホテルが誕生するかもしれない。
明治政府が造った奈良少年刑務所が老朽化のため来年3月に閉鎖される。
この建物を保存し、民間に活用してもらう計画が進んでいるのだ。
ホテルのほか、博物館に転用する案なども出ているという。
「プリズンホテル」は海外では珍しくない。
鉄格子の残る客室や、スタッフが看守の格好でもてなす工夫などで人気も高いらしい。
奈良少年刑務所が誇るのは威容だけではない。
少年や若い受刑者らを更生させるための充実した教育プログラムでも知られ、地元の人たちとの交流も盛んだという。
文化的価値の高い建物だけでなく、過ちを犯した人の立ち直りを支える「地域との絆」も引き継がれ、各地に広がっていくことを願いたい。
[180/200文字]
明治政府が造った奈良少年刑務所が老朽化のため来年3月に閉鎖され、ホテルに転用する案などが出ているという。
海外で「プリズンホテル」は人気も高いらしい。
奈良少年刑務所は少年や若い受刑者らを更生させる教育プログラムでも知られ、地元の人たちとの交流も盛んだという。
文化的価値の高い建物だけでなく、過ちを犯した人の立ち直りを支える「地域との絆」も引き継がれ、各地に広がっていくことを願いたい。