2016/9/30付
リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した田知本遥さんと登坂絵莉さんが、出身地である富山県の県民栄誉賞をおくられたのは、今月12日。誇りに思った県民は少なくなかったろう。そんな晴れがましい気分はしかし、ずいぶんとそこなわれてしまったのではないか。
▼富山市議会での辞職ドミノである。政務活動費、ちぢめれば政活費という名称の手当を不正にふところに入れていた――。そう認めて辞めていった議員は、おとといまでに10人。定数40人の4分の1だ。政活費は議員としての調査や研究のための公金だが、べつの「せいかつひ」とのけじめをつけられなかった印象である。
▼発端は議員報酬を引き上げようと市議会が動いたことだった。これに批判的だった地元の北日本新聞の女性記者が取材をしていたところ、市議のひとりが取材メモを取り上げた。発奮した同紙は、地方議員の報酬や手当の実態にせまるべく取材を強化した。その結果が、底なし沼のような不正の発覚と、辞職ドミノである。
▼ドミノは富山県議会、さらに県外の自治体の議会にも広がりつつある。これを機に日本の地方自治がよくなってほしいものである。そういえば、1918年の米騒動は富山県の女性たちが口火を切った、と教わった。はじめての本格的な政党内閣とされる原敬内閣ができるきっかけになった騒ぎである。さて政活費騒動は。
要約
[289/300文字]
議員としての調査や研究のための公金の政務活動費、ちぢめれば政活費という名称の手当を不正にふところに入れていた――。
富山市議会でそう認めて辞めていった議員は、定数40人の4分の1の10人。
発端は議員報酬引き上げに批判的だった地元新聞の女性記者が取材中、市議のひとりが取材メモを取り上げた。
発奮した同紙は、実態にせまるべく取材を強化。
その結果が、底なし沼のような不正の発覚と、辞職ドミノである。
県外の自治体の議会にもドミノは広がる。
これを機に日本の地方自治がよくなってほしいものである。
はじめての本格的な政党内閣とされる原敬内閣ができるきっかけになった、1918年の米騒動は富山県の女性たちが口火を切った。
さて政活費騒動は。
[196/200文字]
富山市議会で、政務活動費を不正にふところに入れ辞めた議員は、定数の4分の1の10人。
発端は議員報酬を引き上げに批判的だった地元新聞の女性記者が、市議に取材メモを取り上げられたことに発奮した結果だ。
県外の自治体の議会にもドミノは広がる。
これを機に日本の地方自治がよくなってほしいものである。
はじめての本格的な政党内閣とされる原敬内閣ができるきっかけは、富山県の女性たちが口火を切った1918年の米騒動だ。
さて政活費騒動は。