2017/2/2付
いまから100年前、米名門球団レッドソックスで入団4年目の左腕投手が大活躍していた。初年度こそ2勝だったが、翌シーズンから18勝、23勝と積み上げ、この年は24勝を記録。審判を殴って食らった出場停止10試合がなければ、あと3勝はできていたに違いない。
▼そのエースの登板数が翌年から急減する。勝ち星も13勝、9勝と少なくなり、7年目以降はあまりマウンドに立つこともなくなった。肩を壊したとかではない。お気づきだろう。彼の名はベーブ・ルース。抜群の打力を買われ、毎試合出場できる外野手への転向を命じられた。通算714本塁打は現在でも歴代3位である。
▼どの行動を選ぶかで生じる利益の差は「機会費用」で説明できる。経済学者マイケル・リーズの試算では、3番手の外野手をルースに置き換えて増えた得点は年間合計29点。ルースの穴埋めに控え投手を先発に回して損したのは10点だった。「相対的にベストな活動に特化する方が状況の改善につながる」とリーズは説く。
▼そうした常識を超えると目されていた大谷翔平選手が、ワールド・ベースボール・クラシックに投手としては参加しないことになった。世界に二刀流を見せつけられないのは残念だが、起用法の機会費用に悩む必要もなくなった。出場するとなれば、打者のみでもかなりの戦力になるはずだ。豪快な打棒を楽しみにしたい。
要約
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ベーブ・ルースは投手として大活躍していたが、抜群の打力を買われ、毎試合出場できる外野手への転向を命じられた。
通算714本塁打は現在でも歴代3位である。
どの行動を選ぶかで生じる利益の差は「機会費用」で説明できる。
外野手をルースに置き換えると年間合計29点増え、穴埋めに控え投手を先発に回しすと10点の損となった。
「相対的にベストな活動に特化する方が状況の改善につながる」と経済学者マイケル・リーズは説く。
大谷翔平選手が、WBCに投手としては参加しないことになった。
世界に二刀流を見せつけられないのは残念だが、起用法の機会費用に悩む必要もなくなった。
出場するとなれば、打者のみでもかなりの戦力になるはずだ。
豪快な打棒を楽しみにしたい。
[199/200文字]
投手として大活躍していたベーブ・ルースは、抜群の打力を買われ外野手への転向し、本塁打は
通算714本。
どの行動を選ぶかで生じる利益の差は「機会費用」で説明でき、「相対的にベストな活動に特化する方が状況の改善につながる」と経済学者マイケル・リーズは説く。
二刀流の大谷翔平選手が、WBCに投手としては参加しないのは残念だが、起用法の機会費用に悩む必要もなくなった。
出場すれば、打者のみでもかなりの戦力になるはずだ。
豪快な打棒を楽しみにしたい。