2017/6/24付
「私が今死んだら、人はどう思うでしょうか」。おとつい病で亡くなったアナウンサーの小林麻央さんが、昨年つづった文の一節だ。若いのにかわいそう? そう思われたくはない。なぜなら、「病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないから」だと記す。
▼「葛藤の先にたどり着いた思い」だとも振り返る。当初は病を隠し、人との交流も断った。しかし「力強く歩んだ女性でありたい」と、隠れることをやめブログの執筆を始める。季節の移ろい、家族、さらには治療についてもつづり200万人の読者とつながった。「怖(おそ)れていた世界は、優しさと愛に溢(あふ)れていた」と知る。
▼現在、がんなどの病に向き合うことになった人の多くがまず頼るのは、本でも医師でもなくネットだ。国の研究機関などによる正確だが分かりにくいページがある。ずさんな内容やいかがわしい商売用の有害なページもある。玉石混交の中で情報源や心の支えとして存在感を増しているのが、患者自身の手による闘病記だ。
▼医師も看護師も忙しい。患者同士の支え合いはますます大切になる。ネットでの交流もその一つだ。麻央さんの筆は苦しいときも明るさとユーモアを忘れず、言葉は柔らかく、常に読み手の気持ちを意識していた。病に心まで支配されず、生を楽しもうとし続けた記録。伝えることのプロとして貴重な仕事を残してくれた。
要約
[285/300文字]
おとつい病で亡くなったアナウンサーの小林麻央さんは「病気になったことが私の人生を代表する出来事ではない」と記す。
「葛藤の先にたどり着いた思い」だとも振り返る。
ブログの執筆を始め200万人の読者とつながった。
「怖れていた世界は、優しさと愛に溢れていた」と知る。
現在、がんなどの病に向き合うことになった人の多くがまず頼るのはネットだ。
国の研究機関などによる正確だが分かりにくいページがある。
ずさんな内容やいかがわしい商売用の有害なページもある。
玉石混交の中で存在感を増しているのが、患者自身の手による闘病記だ。
麻央さんの筆は病に心まで支配されず、生を楽しもうとし続けた。
伝えることのプロとして貴重な仕事を残してくれた。
[199/200文字]
おとつい病で亡くなった小林麻央さんはブログの執筆で200万人の読者とつながった。
現在、がんなどの病に向き合うことになった人の多くがまず頼るのはネットだ。
国の研究機関などによる正確だが分かりにくいページがある。
ずさんな内容やいかがわしい商売用の有害なページもある。
そんな中で患者自身の手による闘病記が存在感を増す。
麻央さんの筆は病に心まで支配されず、生を楽しもうとし続けた。
伝えることのプロとして貴重な仕事を残してくれた。