2017/8/17付
石川さゆりさんがカッコいい。相変わらずの若大将、加山雄三さんもうまい。竹原ピストルさんが当世風に歌うと、この曲はこうなるんだ――。などなど、ちまたでは結構な評判らしい。かつて三波春夫さんらが歌声を響かせた「東京五輪音頭」の、リメーク版である。
▼2020年大会の組織委員会が公式サイトで披露しているミュージックビデオは、たしかに上々の仕上がりだ。アレンジを施した五輪音頭を3人がそれぞれに熱唱するのを見れば、さあオリンピックの到来だと心が浮き立たぬでもない。あの日ローマでながめた月が……の名調子が耳に残る世代なら感慨ひとしおだろう。
▼だけどなんだかなあ、という声も少なくないはずだ。いくら傑作でも、いかに巧みなリメークでも、やはり半世紀前の焼き直しである。この歌は高度成長のテーマソングだった。敗戦からわずか19年で五輪開催にこぎつけた成功物語の象徴だった。新しい五輪を控えて、思いはむしろ過去へ過去へとさかのぼるのだろうか。
▼組織委はしゃれた振り付けを用意し、普及に躍起なようだ。なにかというと音頭に足並みをそろえるわれら日本人だが、あの時代みたいに明るく元気に踊れるかどうか。そういえば大阪万博のころには、新世紀への夢を歌う「二十一世紀音頭」というのもあった。その今世紀の半ばに、この国の人口は1億人を割るという。
要約
[294/300文字]
2020年大会の組織委員会が披露している「東京五輪音頭」のリメーク版ミュージックビデオは上々の仕上がりだ。
アレンジを施した五輪音頭を見れば、さあオリンピックの到来だと心が浮き立たぬでもない。
しかしいくら傑作でも、いかに巧みなリメークでも、やはり半世紀前の焼き直しである。
この歌は高度成長のテーマソングだった。
敗戦からわずか19年で五輪開催にこぎつけた成功物語の象徴だった。
新しい五輪を控えて、思いはむしろ過去へ過去へとさかのぼるのだろうか。
なにかというと足並みをそろえる日本人だが、あの時代みたいに明るく元気に踊れるかどうか。
大阪万博のころには、「二十一世紀音頭」というのもあった。
その今世紀の半ばに、この国の人口は1億人を割るという。
[198/200文字]
「東京五輪音頭」のリメーク版は上々の仕上がりだ。
アレンジを施した五輪音頭を見れば、さあオリンピックの到来だと心が浮き立たぬでもない。
しかしやはり半世紀前の焼き直しである。
新しい五輪を控えて、思いはむしろ過去へ過去へとさかのぼるのだろうか。
なにかと足並みをそろえる日本人だが、あの時代みたいに明るく元気に踊れるかどうか。
大阪万博のころには、「二十一世紀音頭」というのもあった。
その今世紀の半ばに、この国の人口は1億人を割るという。