2017/8/19付
吉田戦車さんの「伝染(うつ)るんです。」といえば、平成のはじめに大ヒットした不条理ギャグ漫画である。そこに登場するキャラクターの一つが「かわうそ君」だった。人間と融合したような不思議な姿形。言葉を話し、カッパやカエルなどとの奇妙なやりとりが描かれる。
▼さすがは不条理漫画、といったところだが、カワウソは民話や怪異譚(たん)のなかで昔から人を化かし、ときに殺(あや)めてきた。どんな生き物として設定されようと不思議はないのかもしれない。架空の世界で怪しく活躍する一方、現実社会では人前から姿を消していた野生のカワウソの姿が、38年ぶりに長崎県の対馬で確認された。
▼琉球大学の研究チームが公表した映像では、元気よく歩き回り、一瞬、カメラに目線を送るサービスショットまで見せる。伝説の生き物の面目躍如といったふうである。現地で採取したフンを分析したものの、絶滅したとされるニホンカワウソの生き残りなのかどうかは分からないらしい。この先の調査を楽しみにしたい。
▼各地の動物園や水族館ではいま、カワウソがちょっとしたブームになっている。施設の側も泳ぐ様子が見える展示や、エサやりなどのイベントに知恵を絞る。主役は東南アジアなどにすむ小型のコツメカワウソだ。日本の名を冠した生物が姿を消し、外国から来た種が人気者になる。これぞ不条理な物語というべきだろう。
要約
[294/300文字]
カワウソは民話や怪異譚のなかで昔から人を化かし、ときに殺めてきた。
架空の世界で活躍する一方、現実社会では人前から姿を消していた野生のカワウソの姿が、38年ぶりに琉球大学の研究チームにより長崎県の対馬で確認された。
現地で採取したフンを分析したものの、絶滅したとされるニホンカワウソの生き残りなのかどうかは分からないらしい。
この先の調査を楽しみにしたい。
各地の動物園や水族館ではいま、カワウソがちょっとしたブームになっている。
施設の側も泳ぐ様子が見える展示や、エサやりなどのイベントに知恵を絞る。
主役は東南アジアなどにすむ小型のコツメカワウソだ。
日本の名を冠した生物が姿を消し、外国から来た種が人気者になるとは不条理な話だ。
[198/200文字]
野生のカワウソの姿が、38年ぶりに琉球大学の研究チームにより長崎県対馬で確認された。
採取したフンを分析したものの、絶滅したとされるニホンカワウソの生き残りなのかは分からないらしい。
各地の動物園や水族館ではいま、カワウソがちょっとしたブームになっている。
泳ぐ様子が見える展示や、イベントに知恵を絞る。
主役は東南アジアなどにすむコツメカワウソだ。
日本の名を冠した生物が姿を消し、外国から来た種が人気者になるとは不条理な話だ。