[春秋要約160904]ターゲティング・ポリシーの的が外れた25年。政治や役所の強い指導力を望む。<36文字> #sjdis #sjyouyaku

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2016/9/4付

この夏公開されヒット中のゴジラ映画最新作「シン・ゴジラ」。大人の足を映画館に運ばせた裏に、怪獣映画にしては珍しい設定がある。ふつう巨大生物を迎え撃つ役回りは軍人か天才科学者。しかし今作では、若手の政治家や官僚ら背広姿の集団が主役を務めるのだ。
会議の手配、根回し、コピー機の搬入、徹夜の資料作り。取材を重ねた描写は細かい。首相官邸の中をのぞき見するような面白さもある。加えて怪獣との最終決戦では、詳しくは書けないが、軍事力ではなく民間企業が持つ技術力や生産能力、設備が重要な役割を果たす。それらを動員できたのも官僚の力という筋書きだ。
目標と道筋は役所が決め、議員の後ろ盾も巧みに生かし、大手企業を自在に動かすことで国を正しく導く。城山三郎氏が「官僚たちの夏」で描いた高度成長期の霞が関には、そんな構図まだあった。今回の映画の登場人物たちは、当時の熱気通じるものを感じさせる。無名の官僚たちが、それほどカッコよく描かれる
▼現実には、企業の進む道を政治が決めるターゲティング・ポリシーはほぼ的外れに終わる。失われた25年に私たちはそう学んだ「シン・ゴジラ」には政治家や元役人など硬派な方面からの論評も目立つ。総じて好意的だ政治や役所の強い指導力を望む空気が今の日本にあるとすれば、娯楽映画の話と笑っていられない。

要約

[277/300文字]
「シン・ゴジラ」では、軍事力ではなく民間企業が持つ技術力や生産能力、設備が重要な役割を果たし、若手の政治家や官僚ら背広姿の集団が主役。

目標と道筋は役所が決め、議員の後ろ盾も巧みに生かし、大手企業を自在に動かすことで国を正しく導く。
高度成長期の霞が関には、そんな構図がまだあった。
今回の映画の登場人物たちは、当時の熱気に通じるものを感じさせる。
無名の官僚たちが、それほどカッコよく描かれる。

現実には、企業の進む道を政治が決めるターゲティング・ポリシーはほぼ的外れに終わる。
失われた25年に私たちはそう学んだ。
政治や役所の強い指導力を望む空気が今の日本にあるとすれば、娯楽映画の話と笑っていられない。

[193/200文字]
高度成長期の霞が関には、目標と道筋は役所が決め、議員の後ろ盾も巧みに生かし、大手企業を自在に動かすことで国を正しく導くという構図があった。

「シン・ゴジラ」では、民間企業が持つ技術力や生産能力、設備が重要な役割を果たし、若手の政治家や官僚ら背広姿の集団が主役。

現実にはターゲティング・ポリシーはほぼ的外れに終わる。
失われた25年に私たちはそう学んだ。
政治や役所の強い指導力を望む空気を娯楽映画の話と笑っていられない。