[春秋要約161113]七五三では地域の産土神に詣で子供の成長の無事を願う。親心は今も昔も変わらない。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2016/11/13付

そのとき、長年の謎が解けた。敦賀半島に残る出産のための小屋を調べて地元の人の話を聞くうち、ウブスナという言葉の語源をつきとめる。大家の柳田国男がどうしても分からないと嘆いた不思議な言葉だった。民俗学者の谷川健一さんが本紙に書いた体験談である。
▼納屋での出産は古くからの風習で、地域によっては昭和40年代ぐらいまで残っていた。海浜の砂を敷いてムシロや布団を運び、分娩する。その砂の名を聞くと、小屋の持ち主は「ウブスナ」と答えた谷川さんは驚いて、謎の言葉が「産小屋(うぶごや)の砂」だと気づくこれが土地の神、安産の神「産土神(うぶすながみ)」の起源になったようだ。
▼七五三シーズンである。今日、参詣する家族も多いだろう。地域の産土神に詣でて、3、5、7歳の子供の成長を祈る。江戸時代に武家から町家に広がった。当時は栄養や医療も十分でなく、無事に育つのも難しかった親は懸命で、どの神社も混雑した。参道にはアメの露店などが並んで、ずいぶんにぎやかだったらしい。
▼少子化が進んだ今の親はもっと熱心かもしれない。その中身もかなり変化した。着物やドレスで着飾り、家族で記念撮影する。神社に参るよりも、写真が優先という例も多い。それでも成長の無事を願う親心は変わらない。いにしえの海の砂、ウブスナから始まった習俗が、見えないところで、遠く現代まで続いている

要約

[284/300文字]
民俗学者の谷川健一さんが、ウブスナという言葉の語源をつきとめた。
柳田国男がどうしても分からなかった言葉だった。

納屋に海浜の砂を敷いてムシロや布団を運び、分娩する。
その砂の名を「ウブスナ」と言った。
これが土地の神、安産の神「産土神」の起源になったようだ。

七五三シーズンである。
地域の産土神に詣でて、3、5、7歳の子供の成長を祈る。
江戸時代には栄養や医療も十分でなく、無事に育つのも難しかった。
親は懸命で、どの神社も混雑した。

少子化が進んだ今の親は、もっと熱心かもしれない。
その中身もかなり変化した。
それでも成長の無事を願う親心は変わらない。
いにしえの海の砂、ウブスナから始まった習俗が、見えないところで、遠く現代まで続いている。

[198/200文字]
納屋に海浜の砂を敷いてムシロや布団を運び、分娩する。
その砂の名が「ウブスナ」で、土地の神、安産の神「産土神」の起源だ。

七五三では、地域の産土神に詣で子供の成長を祈る。
江戸時代には栄養や医療も十分でなく、無事に育つのも難しかった。
親は懸命で、どの神社も混雑した。

少子化が進み今は、もっと熱心かもしれない。
その中身もかなり変化した。
それでも成長の無事を願う親心は変わらない。
ウブスナから始まった習俗が、見えないところで、遠く現代まで続いている。