2016/12/31付
昭和は「アミダクジ」だったが平成は「巨大迷路」だ――。いまは亡き阿久悠さんがこんな言葉を残している。確率は低いが当たりが見えていて、何本か線を加えられるのがアミダクジ。かたや形の似た巨大迷路は出口が見えず、中をさまよう者は不安にさいなまれる。
▼おびただしい数の歌謡曲を、世に送り出した人ならではの感覚だ。阿久さんはそんなアミダクジの昭和を中心に活躍し、ライバルたちと競い合い次から次へと詞を書いた。「舟唄」「津軽海峡・冬景色」「UFO」「五番街のマリーへ」……。歌だけでなく、歌を生みだす力にみんなが共感したからこそ愛されたのだろう。
▼日本人が巨大迷路をさまよって、かれこれ30年になる。当たりが見えない。自分で運を引き寄せる線を引くこともままならない。不安は募るのだが、為政者も経済人も目先のことに追われてばかりだ。NHKの紅白歌合戦にはたくさんの曲が登場すれど、もはやバラエティーショーみたいで熱を感じないのも時代のせいか。
▼それでも気を取り直して、来る年に迷路からの脱出を託してみよう。大人たちの知らぬ場所で、社会と格闘する若者がいる。突破口を探る起業家がいる。つまずいて 傷ついて 泣き叫んでも――と阿久さんは「あの鐘を鳴らすのはあなた」につづった。今年は紅白落選というその歌い手にかわり、口ずさみたくもなる。
要約
[296/300文字]
いまは亡き阿久悠さんは、昭和は「アミダクジ」だったが平成は「巨大迷路」だという言葉を残している。
日本人が巨大迷路をさまよって、かれこれ30年になる。
当たりが見えない。
自分で運を引き寄せる線を引くこともままならない。
不安は募るのだが、為政者も経済人も目先のことに追われてばかりだ。
NHKの紅白歌合戦ももはやバラエティーショーみたいで熱を感じないのも時代のせいか。
それでも気を取り直して、来る年に迷路からの脱出を託してみよう。
大人たちの知らぬ場所で、社会と格闘する若者がいる。
突破口を探る起業家がいる。
つまずいて 傷ついて 泣き叫んでも――と阿久さんは「あの鐘を鳴らすのはあなた」につづった。
今年は紅白落選というその歌い手にかわり、口ずさみたくもなる。
[185/200文字]
阿久悠さんは、昭和は「アミダクジ」だったが平成は「巨大迷路」だという言葉を残している。
日本人が巨大迷路をさまよって、かれこれ30年になる。
当たりが見えない。
自分で運を引き寄せる線を引くこともままならない。
不安は募るのだが、為政者も経済人も目先のことに追われてばかりだ。
それでも気を取り直して、来る年に迷路からの脱出を託してみよう。
大人たちの知らぬ場所で、社会と格闘する若者がいる。
突破口を探る起業家がいる。