[春秋要約170306]「森友学園」問題も文科省の天下りの件も、役所の黒塗り文書では情報公開できない。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/3/6付

ぎょっとした。明け方、がさごそと音がした。明るくなってみると、夫の顔が真っ黒である。妻は確信する。やっぱりね。また、女のところに行っていたに違いない。してやったり。べっとりと墨塗りの顔が動かぬ証拠だ。こんな話が鎌倉時代の「古本説話集」にある。
男はいつも水さしを持ち歩いていた。その女のところで、愛情があるんだよと、そら泣きしてみせていたのだ。これを知った妻は、水と墨を入れ替えておいた。しらずに顔や袖をぬらしたから、たまらない。鏡を見た男は、しかけに気づく。あまりに情けない。それからは、ニセモノの涙を流すのはやめてしまったそうだ。
▼いま、べっとりで、ぎょっとするのは役所の文書である。「森友学園」問題の始まりは、黒塗りの書類だった文科省の天下りの件でも次々でてきた。情報公開といいながら、まるで機密書類だ。小池百合子都知事は「のり弁」とよぶ。「日の丸弁当」のように白く公開すると宣言したが根が深い。どこまで、できるか。
▼墨塗りには、魔よけの意味もある邪鬼は黒がにがてだからだ。むかしは正月の羽根つきで負けると、顔に塗ったものだ。各地に無病息災を祈る墨塗りの祭りが残るが、それほど多くはない。とっくにすたれたか。と思ったら、どっこい、役所の世界では、伝統が生きていた。鬼みたいに、よほど世間の目が怖いとみえる

要約

[298/300文字]
明け方、がさごそと音がした。
明るくなってみると、夫の顔が真っ黒である。
妻は夫が女のところに行っていたことを確信する。
べっとりと墨塗りの顔が動かぬ証拠だ。
こんな話が鎌倉時代の「古本説話集」にある。

いま、べっとりで、ぎょっとするのは役所の文書である。
「森友学園」問題の始まりは、黒塗りの書類だった。
文科省の天下りの件でも次々でてきた。
小池百合子都知事は「のり弁」とよぶ。
情報公開すると宣言したが、根が深い。
どこまで、できるか。

墨塗りには、魔よけの意味もある。
むかしは正月の羽根つきで負けると、顔に塗ったものだ。
各地に無病息災を祈る墨塗りの祭りが残るが、それほど多くはない。
すたれたかと思ったら、役所の世界では、伝統が生きていた。
鬼みたいに、よほど世間の目が怖いとみえる。

[192/200文字]
黒塗りの役所の文書にぎょっとする。
「森友学園」問題の始まりは、黒塗りの書類だった。
文科省の天下りの件でも次々でてきた。
小池百合子都知事は「のり弁」とよぶ。
どこまで、情報公開できるのか。

墨塗りには、魔よけの意味もある。
むかしは正月の羽根つきで負けると、顔に塗ったものだ。
各地に無病息災を祈る墨塗りの祭りが残るが、それほど多くはない。
すたれたかと思ったら、役所の世界では、伝統が生きていた。
鬼みたいに、よほど世間の目が怖いとみえる。