［春秋要約170725]安倍内閣の支持率は39％で「終わりの始まり」が訪れたのか。真相の解明も遠そうだ。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

2017/7/25付

半眼で身じろぎもせずに、土俵の下で取組を待つその姿は、まるで悟りを得た人のようであった。大相撲名古屋場所で最多勝記録を更新し、39回目の優勝をも遂げた横綱白鵬である。気高ささえにじみ出ていて、奈良・薬師寺の薬師如来像を連想した。２メートル超の座像だ。
▼この国宝の銅像には遠い昔、金のメッキが施されていたという。しかし、今ははげ落ち黒褐色の光沢が美しい。むしろ、顔貌や肉付きはくっきりしたかもしれない。当初の華やかさやきらびやかさがなくなり、逆に魅力が磨かれる。古美術の世界なら「時」の試練は味方にもなるだろうが、生身の人間にはしばしば残酷だ。
▼本紙などの世論調査で安倍内閣の支持率は39％という。発足まもない2013年４月の76％からほぼ半減である。「人柄が信頼できない」が不支持理由のトップでは挽回は相当難しいと見る向きもある。「アベノミクス」「一億総活躍」など多彩なスローガンが飛び交った政権にも「終わりの始まり」が訪れたのだろうか。
▼「勉強しろ」と言われ、気分よく実行に移した人はまずいまい。「説明せよ」と迫られた国会の閉会中審査で、首相は居心地悪げに浅く腰掛け、嵐が過ぎるのを待つふうでもあった。真相の解明も遠そうだ。ちなみに薬師如来は体の病だけでなく、強欲や不正直などの悪癖をも癒やすという。きょう、参院に降臨願おうか。

要約

[299/300文字]
大相撲名古屋場所で最多勝記録を更新し、39回目の優勝をも遂げた横綱白鵬の姿に、奈良・薬師寺の薬師如来像を連想した。

この国宝の銅像に施されていた金のメッキははげ落ち、今は黒褐色の光沢が美しい。
むしろ、顔貌や肉付きはくっきりしたかもしれない。
古美術の世界なら「時」の試練は味方にもなるだろうが、生身の人間にはしばしば残酷だ。

本紙などの世論調査で安倍内閣の支持率は39％という。
発足まもない2013年４月の76％からほぼ半減である。
多彩なスローガンが飛び交った政権にも「終わりの始まり」が訪れたのだろうか。

国会の閉会中審査で、首相は居心地悪げに嵐が過ぎるのを待つふうでもあった。
真相の解明も遠そうだ。
強欲や不正直などの悪癖をも癒やす薬師如来に降臨願いたい。

[194/200文字]
奈良・薬師寺の薬師如来像に施されていた金のメッキははげ落ち、今は黒褐色の光沢が美しい。
古美術の世界なら「時」は味方にもなるが、生身の人間にはしばしば残酷だ。

世論調査で安倍内閣の支持率は39％と発足時からほぼ半減。
多彩なスローガンが飛び交った政権にも「終わりの始まり」が訪れたのか。

国会の閉会中審査で、首相は嵐が過ぎるのを待つふうでもあった。
真相の解明も遠そうだ。
強欲や不正直などの悪癖をも癒やす薬師如来に降臨願いたい。