2016/10/5付
同世代と酒など飲むと「万博ネタ」で盛り上がることがある。「動く歩道に驚いたなあ」「空中ビュッフェ、覚えてる?」「会場でテンガロンハットがはやったよね」。話題はどんどんマニアックになる。1970年のあのお祭り騒ぎの印象は、じつに強烈だったのだ。
▼大阪の千里丘陵を訪れた人は、半年間で6400万人を超えた。未来はこんなふうだ、と意匠を競ったパビリオン群。非日常感覚、異国体験、大行列。ハンバーガーから洋式トイレまで初めて出合うものだらけだった。当時の小中学校には万博オタクがたくさんいた。だからバンパクと聞くだけで、いまも人々は高揚する。
▼そういう郷愁が、この計画の根っこにもあるようだ。大阪府が2025年の開催をめざす新たな万博である。「人類の――」といってもこんどは「健康と長寿」をテーマに、臨海部の夢洲(ゆめしま)にパビリオンを並べるという。東京五輪の後は大阪万博。高度成長期の夢をもういちど追おうとしても、いまの時代とのズレは大きい。
▼巨額の費用を投じてしばしの祭典に酔う。それが新たな発展につながるのならいいが、世間の視線はずっと厳しくなっている。会場の隣にカジノをつくる案もあるというから、ますます分かりにくい万博なのだ。「ルーレットでだいぶ負けたな」「こんどはブラックジャックに挑戦だ」。こんな万博ネタはちょっと寂しい。
要約
[277/300文字]
同世代と「万博ネタ」で盛り上がることがある。
1970年のあのお祭り騒ぎの印象は、じつに強烈だった。
半年間で6400万人が訪れた。
バンパクと聞くだけで、いまも人々は高揚する。
そういう郷愁が、この計画の根っこにもあるようだ。
大阪府が臨海部の夢洲で「健康と長寿」をテーマに2025年の万博開催をめざす。
東京五輪の後は大阪万博。
巨額の費用を投じて高度成長期の夢を追おうとしても、いまの時代とのズレは大きい。
それが新たな発展につながるのならいいが、世間の視線は厳しくなっている。
会場の隣にカジノをつくる案もあり、ますます分かりにくい。
「ルーレットでだいぶ負けたな」「こんどはブラックジャックに挑戦だ」。
こんな万博ネタはちょっと寂しい。
[181/200文字]
1970年の万博の印象は強烈で、いまも人々は高揚する。
大阪府は臨海部の夢洲で「健康と長寿」をテーマに2025年の万博開催をめざす。
東京五輪の後は大阪万博。
巨額の費用を投じて高度成長期の夢を追おうとしても、いまの時代とのズレは大きい。
それが新たな発展につながるのならいいが、世間の視線は厳しくなっている。
会場の隣にカジノをつくる案もあり、ますます分かりにくい。
カジノでの勝負が印象に残る万博では寂しい。