[春秋要約161015]賛否沸騰のノーベル文学賞にディラン本人は黙して語らないが、違和感を楽しんでいる。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2016/10/15付

ノーベル文学賞は……ボブ・ディラン」。事務局長がニコリともせず、こんな衝撃の選考を明らかにするのだからスウェーデン・アカデミーも芸が細かい。おととい、この発表をネット中継などで見ていて感嘆した人は地球上に無数にいただろう。おお、ディランだ!
▼「世界の吟遊詩人に栄誉」「ロックが文学になった」「反戦と抵抗の思いを体現」――。こういうときの常ではあるが、称賛の嵐が吹き荒れて当分やみそうもない。とはいえケチをつける声もあって、英スコットランドの作家、アービン・ウェルシュ氏は「もうろくしたヒッピーによる懐古趣味賞だ」と毒舌を吐いている
▼既成の秩序からはみ出して、訴えたいことを自在に表現してきたのがディラン流だ。非難もむしろ勲章みたいなものだし、アカデミー側にしても賛否沸騰は織り込み済みだったかもしれない。文学の概念を広げる画期的な授賞か、けれん味の隠せぬくせ球か。団塊の世代あたりを中心に、ディラン談議がしばらくは続こう
▼楽曲から詞だけを取り出して文学賞を贈るのなら映画の脚本も対象になる。歌舞伎だって落語だって立派な言語表現だ。などとあちこちでにぎやかなことだが、肝心のご本人は黙して語らず、それも相変わらずカッコいい。一昨夜から何度も「ノーベル賞作家ディラン」のしゃがれ声を聞き、違和感を楽しむばかりである。

要約

[297/300文字]
「ノーベル文学賞は……ボブ・ディラン」。
こんな衝撃の選考をネット中継などで見ていて感嘆した人は地球上に無数にいただろう。

「世界の吟遊詩人に栄誉」「ロックが文学になった」「反戦と抵抗の思いを体現」――。
こういうときの常ではあるが、称賛の嵐が吹き荒れて当分やみそうもないが、ケチをつける声もある。

既成の秩序からはみ出して、訴えたいことを自在に表現してきたのがディラン流だ。
非難もむしろ勲章みたいなものだし、アカデミー側にしても賛否沸騰は織り込み済みだったかもしれない。
文学の概念を広げる画期的な授賞か、けれん味の隠せぬくせ球か。
ご本人は黙して語らず、それも相変わらずカッコいい。
一昨夜から何度も「ノーベル賞作家ディラン」を聞き、違和感を楽しんでいる。

[193/200文字]
「ノーベル文学賞はボブ・ディラン」という衝撃の選考。
称賛の嵐が当分やみそうもないが、ケチをつける声もある。

既成の秩序からはみ出して、訴えたいことを自在に表現してきたのがディラン流だ。
非難も勲章みたいなものだし、アカデミー側も賛否沸騰は織り込み済みだろう。
文学の概念を広げる画期的な授賞か、けれん味の隠せぬくせ球か。

ご本人は黙して語らず、それも相変わらずカッコいい。
「ノーベル賞作家ディラン」を聞き、違和感を楽しんでいる。