2016/10/18付
多くの雲水が修行する曹洞宗の大本山、福井県の永平寺では11月末になると沢庵(たくあん)漬けを仕込む。使う大根は1万本以上。深さと直径が1.3メートルのおけに塩やぬかを敷き、大根を並べる。わらじ履きの足で押し、漬物石でさらに圧をかける。食べられるのは翌年夏からだ。
▼下押しの圧力は漬物のうま味をぐっと増す。しかし、消費者物価にとっては厄介だ。指数が8月まで半年続けて前年同月を下回った、との報には「デフレ脱却、黄信号」の見出しが躍っていた。日銀は物価見通しのさらなる下方修正を検討中とかで、黒田総裁の任期の2018年4月までの2%の目標達成は難しいらしい。
▼内閣府によるデフレの定義は「物価の持続的な下落」で、デフレ脱却は「その状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」だそうだ。日銀は先月の総括的な検証で「デフレではなくなった」と記し、安倍首相も「デフレではない状況を作り出した」と自賛するが、現実の数字と比べて、素直には受け取れない。
▼小売りの勝ち組も低価格衣料店や100円ショップだ。将来への不安や賃金低迷などの重しで、人々には節約志向が古漬けの味のように染みついた。ここは熟議と決断で構造を打破する政治の出番である。しかし、女性の活躍で成長を促すはずの配偶者控除廃止はいきなりの肩透かし。「失われた」歳月はいつまで続くか。
要約
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下押しの圧力は消費者物価にとっては厄介だ。
指数が8月まで半年続けて前年同月を下回り「デフレ脱却は黄信号」だ。
日銀は物価見通しのさらなる下方修正を検討中とかで、黒田総裁の任期の2018年4月までの2%の目標達成は難しいらしい。
日銀は先月の総括的な検証で「デフレではなくなった」と記し、安倍首相も「デフレではない状況を作り出した」と自賛するが、現実の数字と比べて、素直には受け取れない。
小売りの勝ち組も低価格衣料店や100円ショップだ。
将来への不安や賃金低迷などの重しで、人々には節約志向が染みついた。
ここは熟議と決断で構造を打破する政治の出番である。
しかし、女性の活躍で成長を促すはずの配偶者控除廃止はいきなりの肩透かし。
「失われた」歳月はいつまで続くか。
[192/200文字]
日銀は消費者物価見通しの下方修正を検討、2018年4月までの2%の目標達成は難しいらしい。デフレ脱却は黄信号だ。
日銀は「デフレではなくなった」と記し、安倍首相も「デフレではない状況を作り出した」と自賛するが、素直には受け取れない。
将来への不安や賃金低迷などで、人々には節約志向が染みついた。
ここは構造を打破する政治の出番だが、女性の活躍で成長を促すはずの配偶者控除廃止はいきなりの肩透かし。
「失われた」歳月はいつまで続くか。