[春秋要約170813]IT大手大手の寡占への懸念に対し、健全な競争には規制と放任のバランス感覚が大切だ。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/8/13付

14~15世紀に最盛期を迎えた海洋通商国家ベネチアは、地中海沿岸の主要都市や英国などとの航路にルールを設けていた船は国有とし、輸送料を払えば誰でも荷を積めた。料金には上限を定め、財力のある商人が値をつり上げて船の利用を独占することも防いでいた
塩野七生さんが「海の都の物語」で紹介している。一連の仕組みは中小の商人にも貿易の機会を均等に与える狙いがあった。大商人による独占は経済の硬直化をもたらし、国を衰えさせる。だからどの商人も活発に取引ができることが必要だ、と考えていたという。海洋国家の繁栄には、それを支える工夫があったわけだ。
▼健全な競争環境をつくる点では、今の世界も知恵が試されている。グーグルやアマゾン・ドット・コムなど米IT(情報技術)大手による寡占への懸念がある誰が何を検索し、何を買ったかなどの膨大な蓄積情報が武器になり、さまざまな市場で支配力が強まりかねない。ベネチアのように競争政策の役割は小さくない
▼ただ企業への規制強化が行き過ぎては、経済の活力が失われる心配もある。じつはベネチアでは、国有船を就航させて輸送料の管理も国がしていたのは、決められた日程で運航する定期航路についてだった。それ以外の航路では国は民間の取引への介入を見送った。規制と放任のバランス感覚こそ参考になるかもしれない。

要約

[290/300文字]
14~15世紀に最盛期を迎えた海洋通商国家ベネチアは、主要都市の航路で船は国有とし、料金の上限を定め船の独占利用を防いで、中小の商人にも貿易の機会を均等に与えていた。

健全な競争環境をつくる点では、今の世界も知恵が試されている。
グーグルやアマゾン・ドット・コムなど米IT大手による寡占への懸念がある。
膨大な蓄積情報は、さまざまな市場で支配力を強めかねない。
ベネチアのように競争政策の役割は小さくない。

ただ企業への規制強化が行き過ぎては、経済の活力が失われる心配もある。
じつはベネチアが管理していたのは定期航路についてだった。
それ以外の航路では民間への介入を見送った。
規制と放任のバランス感覚こそ参考になるかもしれない。

[199/200文字]
健全な競争環境をつくる点で、今の世界は知恵が試されている。
グーグルやアマゾン・ドット・コムなど米IT大手による寡占への懸念がある。
膨大な蓄積情報は、さまざまな市場で支配力を強めかねない。

ただ企業への規制強化の行き過は、経済の活力が失われる心配もある。
海洋通商国家ベネチアは定期航路は管理を行い、財力のある商人の独占を防いでいた。
それ以外の航路では民間への介入を見送った。
規制と放任のバランス感覚こそ参考になるかもしれない。